屯鶴峯

屯鶴峯（どんづるぼう）

奈良県香芝市穴虫峠付近に位置する屯鶴峯は、その名の通り、鶴が群れているかのような独特の景観を持つ奇岩群です。「どんづる峯」とも呼ばれるこの場所は、金剛生駒紀泉国定公園の一部であり、自然の美しさを堪能できるスポットとして知られています。

形成の歴史

屯鶴峯の地形は、二上山の火山活動に遡ります。火山活動によって堆積した火山岩屑が隆起し、凝灰岩が露出。その後、約1500万年という長い年月をかけて風化と浸食を繰り返し、現在の奇岩群が形成されました。標高約150mの岩山からは、サヌカイトやザクロ石閃緑岩といった岩石が産出されることも特徴です。その地質学的な価値から、奈良県の天然記念物にも指定されています。

戦争の記憶

屯鶴峯には、太平洋戦争中に建設された防空壕が残されています。これは、本土決戦を想定した陸軍によって航空部隊・航空総軍の戦闘司令所として建設されたもので、二つの壕に分かれています。複雑に入り組んだ壕は、戦争の記憶を今に伝える貴重な遺構となっています。

地震予知研究の拠点

防空壕の一部は、現在、京都大学防災研究所附属地震予知研究センター屯鶴峯観測所として活用されています。地震予知研究計画の一環として、地殻変動の連続観測が行われており、防災科学の発展に貢献しています。

名前の由来

屯鶴峯の名前は、灰白色の断崖が連なる様子が鶴の群れのように見えることに由来します。遠くから眺めると、松林の中に多くの鶴が屯（たむろ）しているように見えることから、「屯鶴峯」と名付けられました。自然が生み出した景観が、その名の由来となったのです。

アクセス

屯鶴峯へのアクセスは、近鉄南大阪線の上ノ太子駅、二上山駅、または近鉄大阪線の二上駅、関屋駅が利用できます。上ノ太子駅からは比較的道幅が広く歩道も整備されています。その他の駅からは、国道165号穴虫交差点から県道703号を経由します。

近鉄南大阪線 上ノ太子駅 徒歩約40分
近鉄南大阪線 二上山駅 徒歩約30分
近鉄大阪線 二上駅 徒歩約35分
近鉄大阪線 関屋駅 徒歩約40分

かつては、近鉄南大阪線に臨時駅「屯鶴峰駅」が存在しましたが、1945年に休止、1974年に廃止されました。

周辺情報

屯鶴峯は、ダイヤモンドトレール（ダイトレ）の一部でもあります。ダイトレの起点碑も近くにあり、ハイキングコースとしても人気があります。

関連情報
* ダイトレの起点碑はどこ? - 大阪府/思いっきり!! 南河内

屯鶴峯は、奇岩群の自然美、戦争の遺構、そして地震予知研究の拠点という、多様な側面を持つ魅力的な場所です。歴史と自然が織りなす独特の雰囲気を、ぜひ実際に訪れて体感してみてください。

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