山下三郎 (政治家)

山下三郎の生涯と功績

山下三郎（やました さぶろう）は1930年1月1日に生まれ、日本の政治家として長い経歴を持つ人物です。彼は広島県廿日市市の市長を4期にわたって務め、また自身が広島市への原子爆弾投下による被爆者の一人であることから、被爆体験についての証言活動を長年にわたり続けてきました。

生い立ちと被爆体験

幼少期に両親を失った山下は、広島県佐伯郡宮内村にある山下家に養子として迎えられました。彼は旧制山陽中学校（現在の山陽高等学校）に在籍中の15歳のとき、学徒動員され広島市内の工場で被爆しました。この体験は彼の人生に深い影響を与え、その後の政治活動や被爆者支援の姿勢に繋がっていきました。

政治経歴

戦後、山下は一時期県職員として活動し、その後農業にも従事しましたが、1955年に25歳で宮内村議会議員に当選し、政治家としての道を歩み始めます。その後、廿日市町の議会議員を経て、1991年に市長に初当選しました。彼はその後4期連続で市長職を務め、広島県内での重要な政治的役割を果たしました。

山下の市長としての任期中、彼は様々な役職を歴任しました。たとえば、佐伯中央農協理事や道路管理会社の社長、廿日市市議会議長などです。1991年と1995年にはいずれも無投票で当選を果たし、1999年には共産党から公認された候補者に対しても、大きな票差で当選しました。彼の市長職においては、被爆者としての立場を活かした証言活動が特に顕著でした。

彼は市長在任中、「被爆市長」として多くの集会や学校に足を運び、自己の被爆体験を語る活動を継続しました。特に、2005年には国連本部での核不拡散条約（NPT）再検討会議で、日本非核宣言自治体協議会の副会長として参加し、自身の体験を訴えました。また、地域の安全保障に関しては、岩国基地の増強に反対する姿勢を貫きました。

彼の在任期間中には、廿日市市の人口が増加し、また大規模な公共事業が進行したものの、その一方で財政面では厳しい状況が続いたとされています。市の合併や制度改革も進められ、彼の功績として、広島看護大学の誘致や市域の拡大が挙げられます。最終的に、彼の後を継いだ市長は副市長であった眞野勝弘が当選しました。

引退後と家族

市長職を退いた後も、山下は広島県社会福祉協議会の会長を務め、地域に貢献し続けました。2005年には『地方自治一筋に: 政治生活50年の歩み：山下三郎自叙伝』を刊行し、その政治活動を振り返る機会ともなりました。

また、彼には息子がいて、智之は広島県議会議員として活動しています。智之は2019年に発生した大規模買収事件で注目されました。この事件で、山下はある金銭の受け取りを認め、それが買収目的であると証言していますが、後に返金したとされています。

栄典

山下三郎は、2008年の春に旭日中綬章を受章するなど、その功績が評価されてきました。


このように、山下三郎の生涯は、個人の経験と広島の歴史的背景が交差し、地域社会に対する貢献が色濃く残るものとなっています。彼の活動は、ただの政治家としての枠を超え、地域住民や次世代に対するメッセージを含んだものでもありました。

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