山下達郎のオールナイトニッポン

山下達郎のオールナイトニッポン：1976年の深夜を彩った音楽の夜会

1976年、まだソロデビュー前の山下達郎がパーソナリティを務めた伝説のラジオ番組『山下達郎のオールナイトニッポン』。その9ヶ月間の放送は、ミュージシャンの山下達郎の個性と情熱が詰まった、リスナーにとって忘れられない時間となりました。

放送概要と枠移動

番組は1976年1月8日から9月まで、ニッポン放送で放送されました。当初は水曜日の深夜（正確には木曜未明）でしたが、3月からは月曜日の深夜枠（火曜未明）に移行。深夜の放送時間帯は、リスナーの熱気と、山下達郎の選曲センスが織りなす独特の雰囲気を生み出しました。

46年ぶりの復活と特別番組

2022年には、オールナイトニッポン55周年記念特番として『山下達郎のオールナイトニッポンGOLD』が放送され、46年ぶりにオールナイトニッポンに帰ってきました。翌2023年には、『オールナイトニッポン55時間スペシャル』の一環として、上柳昌彦氏との共演で再び番組が放送され、往年のファンを熱狂させました。

シュガー・ベイブ特集と選曲へのこだわり

番組放送時期は、山下達郎が所属していたバンド、シュガー・ベイブの解散前後とソロデビュー前という重要な時期に当たります。ソロデビューアルバム『CIRCUS TOWN』の発売は番組終了後のことでした。

この番組では、9ヶ月間にわたってシュガー・ベイブ特集を組んだという伝説も残っています。山下達郎の音楽遍歴を知る上で、貴重な記録と言えるでしょう。

しかし、その選曲は当時のディレクターからは理解されにくいものでした。山下達郎本人は、選曲の自由が制限されていたこと、ディレクターが特定の楽曲ばかりを流そうとしていたことに不満を持っていたと語っています。

特に、ビーチ・ボーイズの全アルバム全曲を4ヶ月かけてオンエアしたエピソードは有名です。ディレクターに毎週怒られながらも、自身の音楽的アイデンティティを貫き通しました。これは、ミュージシャンとしての山下達郎の強い信念を示すエピソードと言えるでしょう。

伝説の電話リクエストと異例の放送

1976年3月26日には、年度替わりの編成変更に伴い、特別に第1部のパーソナリティを担当しました。この時、山下達郎は、自身の音楽仲間や、他局の番組パーソナリティである山本コウタロー氏にまで電話をかけて、リクエストを依頼するという、異例な企画を行いました。

オールナイトニッポン55時間スペシャルでの告白

2023年の『オールナイトニッポン55時間スペシャル』で、山下達郎は当時のプロデューサーから選曲について注意されたエピソードを語りました。「10曲かけるなら7曲は誰でも知っている曲にしてほしい」という要望に対し、山下達郎は「僕はミュージシャンなんです。自分がかける曲は自分のアイデンティティだ」と主張し、自身の音楽観を貫いたことを明かしました。ビーチ・ボーイズの全曲放送も、この強い意志の表れだったと言えるでしょう。

まとめ

『山下達郎のオールナイトニッポン』は、単なるラジオ番組ではなく、山下達郎というミュージシャンの音楽的信念と個性、そして情熱が凝縮された、貴重な文化遺産と言えるでしょう。46年ぶりの復活を含め、その影響力は現在もリスナーの心に深く刻まれています。番組で流された音楽、そして山下達郎の言葉は、時代を超えて多くの人々にインスピレーションを与え続けているのです。

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