山中央

山中央の生涯とジャーナリズムへの貢献

山中央（やまなか おう、1934年1月 - 2003年1月6日）は、日本の名ジャーナリストでした。彼の本名は江上茂であり、東京で生まれ育ちました。彼は1956年に東京外国語大学英米語科を卒業し、その後ニッポン放送に入社し、報道部での仕事を始めました。彼のキャリアは多岐にわたり、1964年には東京12チャンネル（現在のテレビ東京）に移籍しました。

テレビ東京の報道部やスポーツ局での勤務を通じ、山中は差別用語に対する関心を深めました。彼はこの問題に取り組むため、同局内で自主的に「放送用語集」を作成したことでも知られています。また、1966年から1970年には所属する労働組合の書記長を務め、その後も1970年から1974年にかけて民放労連の常任中央執行委員としての役割を果たしました。これらの経験を通じて、彼はメディア界における言葉の使い方についての重要な立場を確立しました。彼は1991年にテレビ東京を定年退職しましたが、その後も差別用語問題の研究を続けていました。

山中は特に、差別用語辞典の編集に情熱を注いでいました。彼はこの辞典が完成することを願っていましたが、1995年に食道癌の手術を受けた際、手術の complicationsにより急死してしまいました。彼の死により、差別用語辞典のプロジェクトは未完のままとなりました。

彼の言葉には非常に重要なメッセージが込められています。「『差別する自由はない』ということばが、糾弾の '殺し文句' として使われるが、一方では『勝手に差別と決めつける自由もない』。」という彼の主張は、言葉の選び方やその影響力について深く考えさせるものでした。彼は変名で執筆を行っていたが、それは彼がテレビ東京の社員として活動していたため、取材や執筆活動に関するさまざまな配慮があったからだと言われています。

著作と訳書

山中は優れた著作を数多く残しています。主な著書には、1975年に発表された『ゆたかな日本語をめざして「差別用語」』や、1992年の『新・差別用語』、1995年の『「差別」とメディアの自己規制』、また、2008年には江上茂の名義で『差別用語を見直す―マスコミ界・差別用語最前線』を出版しています。この最後の本では、彼の大学時代からの活動を通じた成果がまとめられています。さらに彼は、ビビアン・アンガスの著書『ネコとあなたの心理学』を訳し、1992年に刊行しています。

山中央の人生と業績は、メディアにおける言葉の重要性や社会における差別の認識を問い直す重要な資産となっており、今日においても彼の考え方や業績は多くの人々に影響を与え続けています。彼の遺産は、言葉の力を理解し、差別のない社会を目指すための重要な指針であるといえるでしょう。

もう一度検索