山元峯生

山元 峯生

山元 峯生（やまもと みねお）氏は、1945年（昭和20年）7月22日に生まれ、2010年（平成22年）1月28日にその生涯を閉じた日本の実業家です。航空業界大手である全日本空輸株式会社（ANA）において、代表取締役社長、そして副会長という要職を務め上げました。

鹿児島県の私立ラ・サール高等学校を経て、京都大学法学部にて学び、1970年（昭和45年）3月に同大学を卒業しました。同年4月には、全日本空輸株式会社に入社。

入社後は、客室サービスに関連する部門をはじめ、法務、人事など、航空会社の運営に不可欠な多岐にわたる業務を経験し、社内外の事情やビジネス構造に関する幅広い知識と経験を積み重ねました。特に、2003年度（平成15年度）から会社全体で取り組まれた大規模な人件費構造改革においては、労務担当として重要な役割を担い、当時の大橋洋治社長が進める経営改革を、その専門知識をもって力強く支えました。この時期の経験は、後の経営者としての手腕に大きく活かされることとなります。

キャリアを着実に重ね、1999年（平成11年）4月には社長室長に就任。同年6月には取締役に昇進し、取締役社長室長となりました。その後、2003年（平成15年）4月には代表取締役副社長執行役員に就任し、経営の中枢において責任ある立場を担います。そして、2005年（平成17年）4月、満を持して全日本空輸の代表取締役社長に就任しました。

社長に就任した山元氏は、前任の大橋社長が推し進めてきた構造改革路線を継承し、さらなる推進を図りました。経営の効率化を目指し、徹底したコスト削減策を実行する一方で、顧客満足度と収益性の向上を両立させる戦略を展開しました。その一環として、「スーパーシートプレミアム」のような高価格帯サービスの提供を積極的に訴求し、付加価値の高いサービスの拡充に努めました。また、国際線事業の強化にも注力し、特に成長著しいアジア路線を中心としたネットワークの拡大を進めました。これらの施策が奏功し、競争の激しい日本の航空市場において、ライバル社である日本航空を上回る、より強固で安定した収益体質を確立することに成功しました。

さらに、将来を見据えた取り組みとして、全日本空輸グループのシンクタンクであるANA総合研究所の設立にも尽力しました。この研究所は、新たなサービスの提案や革新的な事業モデルの研究・開発を担う組織として位置づけられ、グループの持続的な成長に貢献することが期待されました。

全日空の経営改革と発展に大きく貢献した後、2009年（平成21年）4月には代表取締役副会長に退き、経営の第一線からは一歩引いた立場となりました。しかし、その後間もない2010年（平成22年）1月28日、呼吸不全により惜しまれながらも64歳で死去しました。その多大な功績に対し、没後、正四位に叙せられ、旭日重光章が追贈されました。

山元峯生氏は、航空業界の激動期において、経営改革と収益力強化を断行し、全日本空輸の発展に寄与した優れた実業家として、その名を残しています。

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