山内にんじん

山内にんじん（さんないにんじん）

概要

山内にんじんは、秋田県横手市山内地域（旧平鹿郡山内村）で栽培されている在来種のにんじんです。この地域で古くから栽培されてきた「札幌太」という品種から、特に生育の良いものを選抜し、長い年月をかけて独自に育種しました。栽培方法は一般的なにんじんと大きく変わらず、6月下旬に種を蒔き、11月から12月にかけて収穫を行います。雪国ならではの工夫として、収穫したにんじんは雪室で貯蔵され、年明けから翌年の5月頃まで市場に出回ります。これにより、長期間にわたって新鮮な山内にんじんを楽しむことができます。

特徴

山内にんじんの最大の特徴は、その独特な形状です。直径は8～10cm、長さは30～50cmにもなり、一般的なにんじんと比較して非常に太く、長いのが特徴です。また、香りが非常に強く、肉質は硬めでしっかりとした歯ごたえがあります。甘みも強く、煮物や鍋物に入れると、その風味と食感が際立ちます。さらに、秋田県伝統の保存食である「いぶり漬け」の材料としても利用され、地元の人々にとっては欠かせない食材です。

歴史

山内にんじんの栽培は、昭和20年代に横手市山内地域で広く行われるようになりました。昭和25年には山内人参採種組合が結成され、優良種子の生産と普及に尽力しました。しかし、栽培や出荷作業が容易な短根種が主流になると、山内地域でも短根種への切り替えが進み、消費者の嗜好の変化も影響して、山内にんじんの栽培は一時途絶えてしまいました。

しかし、平成17年、横手市山内地域局が「山内にんじんを復活させ、地域の特産品にする」というプロジェクトを立ち上げ、わずかに残っていた種子を増やし、栽培を再開しました。平成19年には15戸の農家が約40aの畑で栽培を行うまでになりました。この取り組みによって、山内にんじんは再び人々の食卓に戻り、地域を代表する特産品としての地位を確立しつつあります。

参考文献

都道府県別地方野菜大全　タキイ種苗株式会社出版部 ISBN 4540021567　34頁

関連項目

横手市
山内村
山内いものこ

外部リンク

ＪＡ全農あきた
秋田県庁　秋田農林水産情報　こまちチャンネル
秋田のグリーン・ツーリズム総合情報サイト「美の国秋田・桃源郷をゆく」
あきた元気ムラ
* 東北農政局

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