山内六郎

山内 六郎（やまうち ろくろう）は、1908年（明治41年）6月9日に生を受けた、日本の造園分野に貢献した官僚です。

生い立ちと学業

静岡県に生まれた山内は、旧制第四高等学校で学びを深めた後、1934年に京都帝国大学農学部を卒業しました。大学での学びが、後のキャリアの礎となったと考えられます。

初期のキャリア

大学を卒業した数年後の1937年には、静岡県立静岡農学校の教諭として教壇に立ちました。教育者としての期間を経て、キャリアの方向性を造園・都市計画分野へと転換していきます。

内務省時代と地方勤務

1940年、山内は内務省に入省し、計画局都市計画課の技手として都市計画行政に携わることとなります。翌年には都市計画大阪地方委員会の技手、そして大阪府都市計画課の技手も兼務する形で大阪へ異動しました。さらに1943年には、都市計画北海道地方委員会の技師および北海道庁の技師として、北の大地での都市計画業務を担当しました。

戦後の活動と神戸市での功績

第二次世界大戦後、山内は地方自治体での緑地行政に深く関わるようになります。1947年からは福岡県土木部計画課にて公園係長を務め、福岡県の緑地整備に尽力しました。そして1955年、山内は神戸市建設局へと籍を移します。国際港湾都市として発展する神戸市において、主に土木緑地砂防課長などの要職を務め、都市の緑化推進や公園・緑地空間の創出・管理に重要な役割を果たしました。神戸市での長年の勤務を通じて、市民生活の質向上に貢献する緑豊かな都市環境づくりに貢献したと言えるでしょう。

受賞と功績の評価

山内六郎の造園・緑地行政における長年の貢献は、高く評価されています。1972年には、日本公園緑地協会から第3回公園緑地折下功労賞が贈られました。これは、公園緑地の発展に顕著な功績があった個人に贈られる栄誉ある賞です。さらに、昭和60年度（1985年度）には、造園分野における最も権威ある賞の一つとされる、第4回日本造園学会上原敬二賞を受賞しました。この賞は、造園に関する学術、技術、あるいは文化の発展に特に貢献した人物に授与されるものであり、山内が造園学の進歩や技術の普及に果たした役割の大きさを物語っています。

まとめ

山内六郎は、内務省をはじめとする中央官庁から、福岡県、そして特に神戸市といった地方自治体に至るまで、多岐にわたる立場で都市計画や公園緑地の整備、管理に尽力した造園系官僚でした。教育者としての経験も持つ彼は、戦前から戦後にかけての日本の都市環境整備において、重要な役割を担った人物と言えます。没年については不明ですが、その功績は公園緑地折下功労賞や上原敬二賞といった形で称えられ、日本の造園・都市計画史にその名前を刻んでいます。

参考文献

本稿の記述にあたっては、日本造園学会発行の『造園雑誌』第50巻4号に掲載された、近松公夫氏・矢木勉氏による「山内六郎氏に聞く (〔第4回〕上原敬二賞受賞者に聞く〔含 略歴・肖像〕)」を参照しました。（pp.290 - 293）

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