山出保

山出保：金沢の都市再生を牽引した政治家

山出保（やまで たもつ）は、1931年生まれの日本の元政治家であり、石川県金沢市長を5期20年にわたり務めました。金沢市の都市開発、文化振興に大きく貢献し、全国市長会会長も歴任するなど、その功績は多岐にわたります。

生い立ちと経歴

山出氏は金沢市に生まれ、金沢大学法文学部を卒業後、1954年に金沢市役所に入庁しました。市役所では、企画課長や財政部長などの要職を歴任し、1987年には助役に就任しました。

1990年、金沢市長に初当選。以後、5期20年の長きにわたり金沢市政を担いました。2010年の市長選挙で落選し退任しましたが、2013年には金沢市名誉市民を受章。石川県中小企業団体中央会会長にも就任しています。

市長としての主な政策

山出氏は市長在任中、「歴史都市づくり」を重点政策として掲げ、様々な事業を推進しました。

旧町名復活運動: 住居表示制度で消滅した旧町名を復活させ、歴史と文化を尊重する都市景観の形成に貢献しました。
こまちなみ制度の創設: 地域の個性を活かした美しい街並みを保全・再生するための制度を創設しました。
ご当地ナンバーの導入: 金沢ナンバーを導入し、地域への愛着と誇りを育みました。
交通網の整備: 金沢ふらっとバスの運行や北鉄金沢駅の地下化など、市民の利便性向上を図りました。
金沢駅東口の整備・再開発: 金沢の玄関口である金沢駅東口を整備し、ランドマークとなる「鼓門」を設置しました。金沢世界都市構想の一環として整備されました。
文化施設の充実: 金沢市民芸術村の開設、金沢職人大学校の創設、金沢21世紀美術館や泉鏡花記念館などの美術館・博物館の整備を進め、文化振興に尽力しました。
香林坊地区の鞍月用水開渠整備事業: かつての用水路を復活させ、景観を向上させました。

野々市町との合併構想

山出氏は、金沢市の政令指定都市への移行を目指し、隣接する野々市町との合併を構想しました。しかし、当時の野々市町長が単独市制を主張したため、合併は実現しませんでした。この合併構想を巡っては、森喜朗元首相から性急な合併に苦言を呈される場面もありました。

受賞・著書

山出氏は、その功績が認められ、2004年に日本都市計画学会石川賞、2010年にフランスのレジオンドヌール勲章シュヴァリエを受章しました。また、以下の著書を執筆し、金沢のまちづくりに対する想いを綴っています。

金沢の気骨 文化でまちづくり（北國新聞社、2013年）
金沢を歩く（岩波新書、2014年）
金沢らしさとは何か まちの個性を磨くためのトークセッション（北國新聞社、2015年）
* まちづくり都市 金沢（岩波新書、2018年）

まとめ

山出保氏は、金沢市長として、歴史と文化を尊重した都市づくりを推進し、金沢の魅力を高めることに大きく貢献しました。その功績は、金沢市民に深く記憶されています。

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