山口智美 (文化人類学者)

山口智美

山口智美（1967年 - ）は、日本の文化人類学者であり、フェミニズム、日本研究、ジェンダー研究を専門としています。東京都港区出身。

経歴

1990年に国際基督教大学教養学部を卒業後、ミシガン大学に進学。女性学プログラムおよびコミュニケーション研究修士課程を修了しました。NPO法人女性連帯基金での活動を経て、2004年にミシガン大学で文化人類学のPh.D.を取得。シカゴ大学東アジア研究センターでのポストドクトラル研究員を経て、モンタナ州立大学社会学・人類学部准教授を務めました。2024年9月からは立命館大学国際関係学部教授に就任。

研究活動

山口の研究は、ジェンダー、フェミニズム、メディア、ナショナリズムなど、多岐にわたります。サントリー文化財団やトヨタ財団からの助成を受け、「グローカルフェミニズム研究会」を主宰し、活発な研究活動を展開しています。

グローカルフェミニズム研究会

山口が代表を務める「グローカルフェミニズム研究会」は、グローバルな視点とローカルな視点を組み合わせたフェミニズム研究を推進しています。研究成果は、『社会運動の戸惑い : フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』などの著書にまとめられています。

メディアとジェンダー

メディアにおけるジェンダー表象や、ジェンダーに関する言説についても研究しています。国際基督教大学のミスコン企画に対する反対運動や、高校無償化措置の朝鮮学校への適用、生活保護法改正など、社会的な問題にも積極的に関与しています。

歴史認識とナショナリズム

歴史認識やナショナリズムに関する問題にも積極的に発言しており、安倍晋三首相の真珠湾訪問における歴史認識を批判し、中国・朝鮮の戦争犠牲者に対する慰霊を求める声明に名を連ねました。

所属学会

日本女性学会
Association for Asian Studies
American Anthropological Association
American Ethnological Society
National Women's Studies Association
Society for East Asian Anthropology
Association for Feminist Anthropology

著作

単著

『社会運動の戸惑い : フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』勁草書房、2012年
『海を渡る〔慰安婦〕問題 : 右派の〔歴史戦〕を問う』岩波書店、2016年
『宗教右派とフェミニズム』青弓社、2023年

共著

A Companion to the Anthropology of Japan. Blackwell companions to anthropology. 5. (2005)
Politics and Pitfalls of Japan Ethnography : Reflexivity, Responsibility, and Anthropological Ethics (2013)
日本会議と神社本庁 (2016)
ネット右翼とは何か (2019)

論文

多数の学術論文、雑誌記事を執筆。

翻訳

植村隆著「反論 慰安婦問題〈捏造記者〉と呼ばれて」の英語訳

ウェブ番組

* ポリタスTV（YouTube）にも出演。

山口智美は、学術研究に留まらず、社会的な問題にも積極的に関与する、現代日本を代表する知識人の一人です。

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