山口車両基地

山口車両基地とは

山口車両基地は、埼玉県所沢市上山口に位置する、西武鉄道が管理・運営する車両基地です。主に山口線、通称レオライナーで使用される車両の日常的な点検や整備を担っています。

所在地は西武球場前駅のすぐ近く、広大な敷地を誇る西武ドームの北東側の一角にあたり、かつて西武第三球場が存在した場所に設けられています。周囲には西武球場や遊園地（現在は一部がメットライフドームエリア）が広がる中に位置し、山口線の運行拠点として機能しています。

構内設備と機能

基地構内には、車両の下部点検などを行うための長さ36メートルのピット線が1線と、車両を綺麗に保つための洗浄線が1線設けられています。これらの設備は、レオライナーとして活躍する車両が日々安全かつ快適に運行されるための基本的な整備、例えば日常的な車両の状態確認や清掃などを行うために使用されます。基地の規模としては比較的小規模であり、山口線の限られた車両数に対応した必要最低限の設備が配置されています。

検査体制

ただし、車両の骨組みに関わるようなより専門的かつ大掛かりな検査、すなわち重要部検査や全般検査といった法定の重要な整備は、この山口車両基地では実施されません。これは、施設の規模や設備、あるいは専門的な人員配置の都合によるものと考えられます。

これらの重要な検査を受ける際には、山口線の車両は特殊な大型トラックに積載され、同じ西武鉄道が運営する別の主要な車両整備拠点である武蔵丘車両検修場まで陸送されます。山口車両基地から武蔵丘車両検修場までは距離があるため、道路を利用した輸送が不可欠となります。

そのため、山口車両基地の構内には、トラックへの車両の積み下ろし作業を安全かつ効率的に行うためのホイストクレーンが設置されており、車両の陸送体制を支えています。日常の点検・整備は山口車両基地で、数年に一度の大規模な検査は武蔵丘車両検修場で、という役割分担がなされていると言えます。

運用車両

ここで主に扱われるのは、山口線で活躍する8500系車両です。8500系は山口線の新交通システム区間開業に合わせて導入された車両であり、ゴムタイヤ方式による独特の走行システムが特徴です。ただし、この8500系車両自体の「所属基地」としては、西武鉄道の主要基地の一つであり、多くの通勤型車両などが配置されている小手指車両基地に籍を置いています。山口車両基地は、あくまでこれらの車両が山口線で運用される際の拠点、日常的な面倒を見る場所という位置づけになります。

基地の歴史

山口車両基地の歴史は、山口線（レオライナー）の西武遊園地駅（現在の多摩湖駅）から西武球場前駅間の新交通システム区間開業日である1985年（昭和60年）4月25日に始まります。この路線の運行開始と同時に、その運行を支えるための基地として使用が開始されました。それ以前の山口線は軽便鉄道であり、使用車両や運行形態が大きく異なっていたため、新交通システムへの転換に合わせて新たな車両基地が必要とされたのです。以来、約40年にわたり、山口線レオライナーの安全・安定輸送を支える重要な役割を果たし続けています。

山口車両基地は、その規模こそ大きくありませんが、山口線という特殊な路線を運行する上で不可欠な施設であり、今日もレオライナーの運行を陰で支えています。

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