山名康郎

山名 康郎（やまな やすろう）

昭和後期から平成にかけて活動した日本の歌人。1925年（大正14年）12月15日、北海道上川管内南富良野町に生まれた。2015年（平成27年）6月18日、89歳で札幌市内の自宅にて病のため死去。

父である山名薫人も短歌雑誌『潮音』に参加する歌人であり、その影響を受けて、山名康郎も早くから短歌の世界に足を踏み入れた。15歳だった1940年（昭和15年）には、父も所属した『潮音』に加え、『新墾（にいはり）』という二つの短歌結社に参加するようになった。

旧制札幌光星中学校（現在の札幌光星高等学校）を卒業後、明治大学に進学。大学在学中には特別幹部候補生として入隊し、第二次世界大戦の終戦を迎えるという経験もしている。

戦後、1948年（昭和23年）に北海道新聞社に入社し、記者として勤めながら歌作を続けた。この頃、歌人太田水穂の妻であり、自身も歌人であった四賀光子に師事し、歌の道を深めていった。

1954年（昭和29年）、当時の短歌界における結社制度に疑問を抱き、長く在籍した『潮音』と『新墾』を離れる決断をする。同時期に、北海道内で活動していた若手歌人たち、特に中城ふみ子らと共に、同人誌『凍土』を新たに創刊し、新たな表現の場を求めた。また、全国的な「青年歌人会議」に参加していたことから、歌人尾崎左永子とも親交を深めた。

同年には、北海道における短歌振興の核となる組織として、川村涛人、芥子沢新之介、相良義重ら多くの歌人とともに、北海道歌人会の設立を呼びかけた主要メンバーの一人となった。同会では、1988年（昭和63年）に代表に就任するなど、その運営と発展に大きく貢献した。

昭和30年代以降、短歌界で台頭した前衛短歌運動に対しては批判的な立場を取り、一時的に作歌活動を中断したが、1973年（昭和48年）に創作を再開。その後は、歌誌『花林』の代表を務めるなど、精力的に活動を続けた。

選者としても長年活動し、1985年（昭和60年）には『潮音』の選者に、1986年（昭和61年）から1997年（平成9年）にかけては北海道新聞の短歌欄選者を担当し、後進の指導にもあたった。

文化活動にも熱心で、1967年（昭和42年）に設立された北海道文学館では、設立当初から理事や顧問を歴任し、北海道の文学振興にも寄与した。

その長年の功績と作品は高く評価され、2006年（平成18年）には歌集『冬の骨』によって第33回日本歌人クラブ賞を受賞。翌2007年（平成19年）には北海道文化団体協議会芸術賞、2009年（平成21年）には第61回北海道文化賞（文学部門）を受賞している。

代表的な著作には以下のものがある。

歌集

• - 『歌集 冬の旗』（1985年、雁書館）
• - 『歌集 冬の風』（1993年、短歌新聞社）
• - 『山名康郎集 : 自解150歌選』（2001年、東京四季出版）
• - 『歌集 冬の骨』（2005年、短歌新聞社）
• - 『冬韻集 : 山名康郎歌集』（2006年、短歌新聞社）
• - 『冬華集 : 山名康郎歌集』（2007年、角川書店）

評論

• - 『中城ふみ子の歌 : 華麗なるエゴイズムの花』（2000年、短歌新聞社）
• - 『齋藤史 : 不死鳥の歌人』（2004年、東京四季出版）

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