山宮浅間神社

山宮浅間神社について

山宮浅間神社は、静岡県富士宮市山宮に鎮座する神社です。かつては村社であり、神紋は「丸に棕櫚の葉」を用いています。全国に数ある浅間神社の中でも、富士山本宮浅間大社の元宮（旧摂社）として知られ、古くからの信仰の形を今に残しています。登記上の宗教法人名称は「浅間神社」です。

世界文化遺産

山宮浅間神社は、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つとして、世界文化遺産に登録されています。登録名称は「山宮浅間神社」であり、富士山信仰において重要な役割を担ってきた歴史的価値が認められています。

歴史

神社の創建に関する伝承は、『富士本宮浅間社記』に記されています。それによると、大同元年（806年）に平城天皇の命により、坂上田村麻呂が山宮浅間神社の地から富士山本宮浅間大社へと遷座したとされています。このことから、山宮浅間神社は浅間大社が創建される以前に、最初に神が祀られた場所であると考えられています。さらに遡ると、垂仁天皇3年には富士山麓の山足の地に祀られていたと伝えられています。

景行天皇の時代には、日本武尊が東国遠征の途中で駿河国において賊徒の襲撃に遭いましたが、富士の神（浅間大神）に祈念したところ、窮地を脱することができたとされています。この恩恵に感謝した日本武尊は、当地に磐境を設けて富士大神を祀ったと伝えられています。

特徴

山宮浅間神社の境内には、本殿に相当する建物はなく、遥拝所としての原始的な形態を残しているのが大きな特徴です。遥拝所には、溶岩を用いた石列が長方形に組まれ、富士山を拝む方向に祭壇が設けられています。祭壇に向かって左側には、富士大宮司席、公文富士氏・案主富士氏席、献饌所があり、右側には別当・社僧席が位置しています。平成20年度の発掘調査では、12世紀代の土師器群が出土しており、これらが祭祀に使用されていたと考えられています。

また、山宮浅間神社から望む富士山の風景は、環境省が選定した「富士山がある風景100選」にも選ばれており、その景観の美しさも特筆すべき点です。

祭神

祭神は、木花之佐久夜毘売命であり、浅間大社と同じです。別称として「浅間大神」とも呼ばれています。

山宮御神幸

遷座後も山宮浅間神社は、浅間大社の元宮として、浅間大社の祭祀に深く関わってきました。江戸時代には浅間大社の摂社、明治10年には末社とされていましたが、現在は独立した法人となっています。浅間大社では、「初申祭」として、4月初申日に山宮浅間神社への参拝が行われます。

「山宮御神幸」は、浅間大社と山宮浅間神社を往復する神事であり、神を古地へ里帰りさせるために行われます。その道を「御神幸道」と呼びます。この神事は、明治6年まで行われていましたが、その名残として、浅間大社の楼門前と山宮浅間神社の籠屋付近および石段付近には、「鉾立石」が残されています。これは神事に用いられる鉾を休めるための「御休石」であるとされています。

御神幸道の起点には、首標の石碑が湧玉池の畔に現存しています。この首標は、1984年に浅間大社境内の土中から発見されたものであり、元禄4年（1691年）に奉納されたものです。御神幸道の行路は、6社の神社を経由しますが、それらは全て浅間大社または山宮浅間神社に縁故のある神社です。

文化財

山宮浅間神社は、国の史跡「富士山」に包括されています。

参考文献

齋藤鮎子、「山宮御神幸道の復元に関する試論 富士山本宮浅間大社と山宮浅間神社を結ぶ道」『祈りの場の諸相』、2017年
神社説明板
『日本歴史地名大系 静岡県の地名』（平凡社）富士宮市 山宮村項
宮地直一、広野三郎 著、浅間神社 編『浅間神社の歴史』今古書院〈富士の研究〉、1929年。

関連項目

富士山本宮浅間大社

外部リンク

御祭神・御由緒>山宮鎮座（富士山本宮浅間大社公式サイト）
* 山宮浅間神社（富士宮市ホームページ）

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