山寿丸

山寿丸について

山寿丸（やまじゅまる）は、日本の山下新日本汽船株式会社が所有し、運航していた原油タンカーです。この船は、石油の輸送業務に従事し、多くの歴史的な特徴を持っています。特に、本船は出光興産との間に15年間の長期的な積荷保証契約を結んでいたため、その運航は非常に安定していました。

建造の経緯

山寿丸は、1965年に日立造船因島工場で建造されました。船台の制約により、この大型船は初めて分割建造方式を採用しました。具体的には、船首部分が1965年の6月3日に進水されたことと、続いて主船体の残り230メートルが同月の15日に進水しました。その後、ドック内でこれらの部分が結合され、同年の10月7日に無事に竣工しました。

ディーゼル船としての特徴

山寿丸は、竣工時には世界最大のディーゼル船として知られ、タンカーとしても1962年に竣工した「日章丸」についでの大きさを誇っていました。その際、船体のデザインに関しては、幅広の経済船型を取り入れています。さらに、甲板室と煙突は分離独立して設計され、タワーブリッジ方式により設置されることになりました。この設計選択は、船体のストリームラインの向上と安全性を兼ね備えたものとなっています。また、建造当時の船価は34億9300万円とされていました。

運航とその後

本船は、竣工後に出光タンカーとして正式に運航を開始し、主にペルシア湾から日本の徳山、千葉に至る原油輸送に従事しました。このような役割において、山寿丸は高い運航効率と信頼性を持つ船舶として評価されていました。

しかし、1970年代半ばにはオイルショックが発生し、タンカーの需要が急激に減少しました。これに伴い、山寿丸は整理対象となり、1977年の12月30日に解体のため台湾の南榮鋼鐵股份有限公司に売却されました。これは、本船が当時の市場環境に適応しきれなかった結果とも言えるでしょう。

参考文献

• - 船舶技術協会『船の科学』1965年10月号 第18巻第10号
• - 山下新日本汽船株式会社『社史 合併より十五年』1980年
• - 朝日新聞社『世界の船'66』1966年

山寿丸の運航とその歴史は、日本の海運業界の変遷を象徴する一例であり、その影響は今日にも残っています。

もう一度検索