山岸敬和

山岸 敬和

山岸 敬和（やまぎし たかかず、1972年12月25日生まれ）は、アメリカ合衆国の政治、福祉国家の構造、そして医療政策を主要な研究対象とする日本の政治学者です。現在は南山大学国際教養学部で教授を務め、多角的な視点から現代社会の課題に取り組んでいます。

経歴

福井県福井市に生まれた山岸氏は、地元の足羽中学校、福井県立藤島高等学校を経て、慶應義塾大学法学部政治学科に進学し、政治学の基礎を学びました。大学卒業後、同大学大学院法学研究科の修士課程を修了し、さらに研究を深めます。その後、アメリカ合衆国のジョンズ・ホプキンス大学へ留学し、2006年に政治学の博士号（Ph.D.）を取得しました。この期間、ジョンズ・ホプキンス大学で非常勤講師としても教壇に立っています。

帰国後、南山大学に着任。当初は外国語学部英米学科で専任講師、准教授、教授を歴任しました。そして、2017年4月からは、現在の国際教養学部の教授として、後進の指導にあたっています。

自身の研究活動は、久保文明氏、アダム・シャインゲイト氏、マシュー・クレンソン氏といった著名な学者たちからの薫陶を受けています。

研究分野と主な業績

山岸氏の研究は、特にアメリカの政治システムが福祉や医療政策にどのように影響を与えるかに焦点を当てています。歴史的な視点から政策形成過程を分析し、日米両国の制度比較を通じて、それぞれの特徴や課題を明らかにしています。

単著としては、第二次世界大戦から戦後復興期にかけての日米における戦争と医療保険政策の関係を論じた英語の著作 「War and Health Insurance Policy in Japan and the United States : World War II to Postwar Reconstruction」 (Johns Hopkins University Press, 2011) があります。また、日本国内向けには、20世紀のアメリカ医療制度の変遷を追い、バラク・オバマ政権下で成立した医療保険制度改革（オバマケア）に至る政治史を詳細に分析した 「アメリカ医療制度の政治史－20世紀の経験とオバマケア－」（名古屋大学出版会、2014年）を著しています。

共著・共編著も多数発表しており、その研究領域の広範さを示しています。

杉田米行氏編 「日米の医療－制度と倫理－」（大阪大学出版会、2008年）では、アメリカの民間医療保険制度の起源、特に国家、医師会、第二次世界大戦との関連について論じた章を担当しました。
杉田米行氏編 「日米の社会保障とその背景」（大学教育出版、2010年）では、アメリカ医師会と医療保険の関係を、日本との比較の中で掘り下げた章を執筆しています。
マイケル・ピサピア氏との共著 「American Politics from American and Japanese Perspectives －英語と日米比較で学ぶアメリカ政治－」（大学教育出版、2013年）では、日米の視点からアメリカ政治を比較検討しています。
杉田米行氏編 「アメリカを知るための18章－超大国を読み解く－（アメリカ研究シリーズ No.2）」（大学教育出版、2013年）では、分権化された政治システムと政策過程に焦点を当てたアメリカの政治機構に関する章を担当しています。
平体由美氏、小野直子氏編著 「医療化するアメリカー身体管理の２０世紀 ー」（彩流社、2017年）では、20世紀前半までのアメリカ病院制度の発展と、「公共空間」としての病院の主導権争いに関する分析を担当しました。

さらに、西川賢氏と共に編者を務めた 「ポスト・オバマのアメリカ」*（大学教育出版、2016年）では、オバマ政権後のアメリカ政治の展望について、多角的な視点から論じています。

これらの著作や論文を通じて、山岸氏はアメリカ政治、特に医療・福祉政策分野における重要な研究者として、学界内外で高い評価を得ています。複雑な日米の社会制度を歴史的・比較政治学的な手法を用いて解き明かすその研究は、現代社会が直面する政策課題を理解する上で貴重な示唆を与えています。

詳細については、南山大学国際教養学部の山岸敬和氏のホームページを参照することができます。

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