山崎一雄

山崎 一雄（やまさき かずお）

1911年3月15日生まれの山崎一雄は、2010年4月10日に逝去した日本の著名な化学者です。名古屋市に生まれ、東京帝国大学理学部を卒業後、恩師柴田雄次の研究室で無機化学の研究を行いました。この経験が彼を古文化財の科学的調査研究に導きました。

経歴と業績

1941年には名古屋帝国大学（後の名古屋大学）の教官に就任しました。ここでは、柴田雄次と共に理学部の発展に寄与しました。山崎は無機化学や錯体化学の研究に加え、文化財に関する調査にも取り組みました。具体的には、紫外線や赤外線、X線分析法、ベータ線後方散乱法などの手法を駆使して、正倉院の宝物や醍醐寺の五重塔壁画、高松塚古墳壁画などの研究に関与しました。

また、彼の研究は日本の従来の文化表現にも影響を受け、山崎は日本画や陶芸、漆芸の専門家とも交流しました。これにより、彼の研究には多角的な視点が加わりました。

学術的な貢献

山崎は『金属イオン周辺における種々イオン並びに分子結合の金属錯体』に関する化学的および分光学的研究で評価されました。化学者としての彼の業績は、1981年には日本文化財科学会の初代会長に就任し、1989年には日本学士院の会員に選ばれるなどの形で認められました。

受賞歴

彼の業績は多くの賞によっても評価されています。1960年には日本学士院恩賜賞を受賞し、これは醍醐寺五重塔の壁画に関する共同研究によるものでした。その後、1982年には勲二等瑞宝章、1988年には国際古文化財保存学会のフォーブス記念賞も受賞しました。2010年には正四位に叙せられました。

著作と翻訳

山崎は多くの著書や共編書を残しています。代表作には『古文化財の科学（1991年）』があり、他にも無機化学や分析化学に関する研究書が多数存在します。彼の業績は国内外の研究者に大きな影響を与えました。また、彼は数多くの翻訳にも関わり、無機化学の命名法に関する文献も手掛けました。

生涯と遺産

2010年4月10日、愛知県の病院で心不全のために94歳でこの世を去りました。山崎一雄の業績は、日本の無機化学の発展だけでなく、古文化財保存の分野にも大きな影響を与えたことから、彼の存在は今後も記憶されることでしょう。

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