柴田雄次

柴田 雄次 (1882-1980) - 日本の化学者

柴田雄次（しばた ゆうじ）は、1882年1月28日生まれの日本の化学者であり、東京大学名誉教授として知られています。彼は正三位勲一等瑞宝章を受賞した優れた学者で、東京府出身です。彼の業績は、日本の科学界において重要な役割を果たしており、特に錯塩化学における先駆者として評価されています。

生涯の概要

柴田は薬学者である父、柴田承桂のもとに東京市神田区駿河台に生まれました。父はかつて東京医学校の教授として働いており、柴田の家系は代々尾張藩で侍医を務めていました。また、彼の兄、柴田桂太も著名な植物生理学者として知られています。長男の柴田南雄は著名な作曲家で音楽評論家として名を馳せています。

彼は東京高等師範学校附属尋常中学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）を卒業し、その後、旧制第一高等学校を経て1904年に東京帝国大学理科大学化学科に入学しました。ここで桜井錠二や池田菊苗の指導を受け、1907年に卒業を果たしました。その後、東京帝国大学大学院に進学し、松原行一の下で学びました。

研究と業績

1910年、柴田は東京帝国大学の理科大学講師に就任しますが、同年には文部省の留学生としてヨーロッパに渡ります。彼はドイツのライプツィヒ大学でハンチに、スイスのチューリヒ大学でアルフレート・ヴェルナーに、フランスのパリ大学でジョルジュ・ユルバンに師事しました。この経験は彼の研究活動に多大な影響を与えました。

帰国後、柴田は1913年に東京帝国大学理科大学の助教授として無機化学を教え始め、1917年には金属錯塩の吸収スペクトルに関する研究により理学博士の学位を取得しました。1919年には東京帝国大学の教授に昇進しました。

1942年には、東京帝国大学理学部教授を定年退官し、新しく設立された名古屋帝国大学に移籍しました。そこで理学部長に就任し、1944年には帝国学士院の会員となります。1948年には名古屋大学を退官後、1949年から1957年まで東京都立大学の初代総長を務めました。1962年から1970年まで、日本学士院の院長としても活動しました。

柴田は、日本の科学界の国際的な交流に貢献し、加えて日本国内における火山や温泉、古代文化財に関連した化学的研究を推進しました。彼は日本における錯塩化学の基礎を築き、その分野の草分け的存在として業績を築き上げました。

受賞歴と栄誉

彼の優れた研究により、多くの栄誉を受けており、特に1927年には「金属錯塩の分光科学的研究」により学士院恩賜賞を獲得しました。

伝記と参考文献

柴田雄次に関する伝記としては、田中実の『日本の化学と柴田雄次』（大日本図書、1975年）があります。また、竹内敬人による「柴田雄次」（『科学史技術史事典』（弘文堂、1983年））も彼の業績を知る上で有用です。

その生涯と活動は、日本の科学の発展に大きく寄与しており、現在も多くの研究者に影響を与え続けています。

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