山崎寿春

山崎 寿春

山崎 寿春（やまざき としはる）は、1878年7月18日に誕生し、1964年11月19日に86歳でその生涯を閉じた日本の教育者です。後に駿台グループとして知られる教育機関の創設者として、日本の教育界に多大な影響を与えました。

生い立ちと学問への探求

明治11年、山崎寿春は鳥取県の地で生を受けました。成長後、語学の道を志し、明治35年（1902年）に東京外国語学校を卒業します。卒業後、高岡市立商業学校などで教壇に立つ経験を積んだ彼は、さらに学びを深めるため渡米を決意します。米国では、リベラル・アーツ教育で名高いアマースト大学や、世界的に著名なハーバード大学などで多様な学びに触れ、特にイェール大学大学院では英語学および英文学の研究に没頭し、専門的な知識を深めました。

教育者としての道のりと駿台の創設

米国での学びを終えて帰国した山崎は、明治大学の教授として教鞭を執る機会を得ます。大学での教育活動を通じて、彼は当時の受験制度が学生たちの心身に大きな負担をかけている現状を深く憂えるようになります。単に知識を詰め込むのではなく、学生一人ひとりの才能を効率的に引き出し、開発する教育法の必要性を痛感しました。こうした問題意識から、彼は自らの理想とする教育機関の設立を決意します。

大正7年（1918年）、山崎は神田錦町に東京高等受験講習会を設立します。これが駿台グループの揺籃となりました。彼の教育の根本には、人間を深く尊重し、温かい愛情をもって学生に接すること、そして何よりも学問本来の楽しさを伝えるという強い教育理念がありました。受験のための知識習得だけでなく、学ぶこと自体の喜びを知ることで、学生たちの学ぶ意欲を引き出し、自律的な成長を促そうとしたのです。

駿台の発展と後世への影響

設立後、山崎の教育機関は着実に発展を遂げます。昭和2年（1927年）には、現在の駿台の拠点となる神田駿河台に場所を移し、駿台高等予備学校を創設しました。これは後の駿台の基盤となる重要な一歩でした。さらに昭和5年（1930年）には、各種学校としての認可を受け、その社会的な位置付けを確固たるものとします。そして、昭和27年（1952年）には、教育活動をさらに発展させるため、学校法人として駿河台学園が設立されました。

山崎寿春が築いた教育の礎は、日本の多くの若者が高等教育への扉を開くための助けとなりました。彼の教育に対する情熱と先見性は、日本の教育史において重要な足跡を残しています。山崎が作り上げた教育機関は、彼の息子である山崎春之氏に引き継がれ、今日の駿台予備学校へとさらなる発展を遂げることになります。

昭和39年、86歳で亡くなるまで、山崎寿春は教育への情熱を持ち続け、多くの学生たちの成長を見守りました。彼の掲げた教育理念は、時代を超えて駿台の教育活動に引き継がれています。

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