山崎春之

山﨑 春之（やまざき はるゆき）

生涯と経歴

1926年2月4日、東京都に生まれる。教育者であり駿台グループの創設者である山崎寿春を父に持つ。旧制明治中学校を経て、1948年に明治大学商学部を卒業。卒業後は教育分野とは異なる、国営の輸出入機関である繊維貿易公団に入り、ビジネスの世界で経験を積んだ。

1952年、父が創設した駿河台学園の理事長代行に就任し、教育界へ転身する。1964年には父・寿春氏の死去に伴い、駿河台学園の理事長兼学園長を継承した。その後、1968年には駿台文庫を設立し、代表取締役社長に就任するなど、事業の多角化にも着手している。

駿台グループの拡大を牽引

山﨑春之氏が駿河台学園の経営を引き継いだ際、ビジネスマンとしてのキャリアで培った経験を活かすべく、「利益を追求するのみになったり、教育機関としての意義が失われたりした場合は、すぐに退く」という条件を父に提示したという。この姿勢は、単なる営利追求にとどまらない、教育者としての信念を示すものと言える。

理事長兼学園長として指揮を執る中で、山﨑氏は駿台グループの事業を大きく広げた。特に、昭和60年代（1985年頃）からの予備学校の全国展開は、駿台予備学校のブランド力を全国に知らしめる上で重要な戦略となった。また、社会のニーズに応える形で専門学校の分野も拡充。さらに、長年の念願であった大学教育機関の設立にも尽力し、1987年には学校法人駿河台学園によって駿河台大学が開学に至った。

1990年には学校法人駿河台大学として独立した設立認可を受け、理事長兼総長に就任。これにより、駿台グループは予備校、専門学校、そして大学という教育の各段階を網羅する体制を確立した。これらの事業拡大は、山﨑氏の経営手腕と先見性がもたらした成果と言えるだろう。

家族と駿台

山﨑家は三代にわたり駿台グループの経営に携わっている。創設者である父・山崎寿春氏は、明治大学教授を務めた後に駿台の前身を設立した人物である。春之氏自身も父から経営を引き継ぎ、グループを大きく発展させた。そして、息子の山崎善久氏もまた、学校法人駿河台大学や学校法人駿台甲府学園の理事長を務めるなど、家業としての教育事業を継承している。

受章と著作

長年にわたる教育界への貢献が認められ、1985年には藍綬褒章を受章している。また、自身の教育に対する考え方や、駿台グループの経営哲学については、著作『教育界のトップブランド『駿台』』（財界研究所、2003年）にまとめられている。

晩年

2006年には駿河台学園の理事長職と駿台文庫の代表取締役社長職を退いたが、学園長としては引き続き教育に携わった。2007年には学校法人駿河台大学の名誉総長に就任している。

2010年1月13日、肺癌のため83歳で死去した。駿台グループの礎を築いた父の事業を受け継ぎ、その規模と影響力を飛躍的に拡大させた功績は大きい。

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