山崎朋子

山崎朋子の生涯と業績

山崎朋子（やまざきともこ）、1932年1月7日に生まれ、2018年10月31日に逝去した女性史研究家であり、ノンフィクション作家として知られています。彼女の夫は児童文化研究家の上笙一郎です。

幼少期と教育

長崎県佐世保市で生まれた山崎は、広島県呉市と広島市で育ちました。父親は大日本帝国海軍の中佐であり、母は歌人でした。1940年、父が艦長を務める潜水艦が沈没し、以後山崎は父を失うことになります。戦時中、母の故郷である福井県に移り住み、そこで終戦を迎えました。その後、福井大学の教育学部で学び、小学校の教師として初期のキャリアをスタートさせました。

女優を目指して

1954年には女優を目指し上京するものの、小学校教諭として働くことになりました。演劇の勉強をしている間に出会った東京大学院生の金光澤との事実婚から、彼女はその後の人生に大きな影響を受けました。しかし、在日朝鮮人の男性との関係が複雑になり、最終的には別れることに。彼女はその後、喫茶店で働きながら写真のモデルなども務めていましたが、1958年には思いがけない事故に見舞われ、女優としての夢は断たれました。

結婚と研究家への転身

その後、新宿で児童文化研究者の上笙一郎と出会い、1959年に結婚しました。この結婚を機に、山崎は女性史研究の道へ進むことを決意し、研究を始めることとなります。1966年には、主著である『日本の幼稚園』で毎日出版文化賞を受賞しました。また、1977年にはアジア女性交流史研究会を設立し、『アジア女性交流史』を刊行しました。

重要な著作と受賞歴

山崎の代表作は、1973年の『サンダカン八番娼館』であり、これは九州地方の「からゆきさん」の聞き書きを基にしています。この著作は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し、映画化もされています。映画は日本で高い評価を受け、彼女自身にも経済的な安定をもたらしました。しかし、この作品に登場したモデルは後に世間の非難を受け、困窮した日々を送ることになりました。

著作の中には『あめゆきさんの歌』もあり、アメリカでの若き日の女性の実態を明らかにしています。山崎は以後、女性史研究の第一人者として多くの著作を世に送り出しました。

社会活動と晩年

1990年代にはアジア女性基金を設立し、近代女性に関する著作の復刊に取り組むなど、社会活動も行っています。また、平和のための戦争展に参加し、著名な文化人と共に活動を組織するなど、彼女の影響力は多岐にわたりました。

死去と遺産

山崎朋子は、2018年10月31日に糖尿病により86歳で亡くなりました。彼女の遺した著作や業績は、今もなお多くの人々に影響を与えています。女性史研究の貴重な文献として、また日本社会の中での女性の役割を再考させるための重要な資料として、後世に受け継がれることでしょう。

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