山川次彦

山川次彦：将棋棋士としてのキャリアと多様な貢献

山川次彦(やまかわ つぎひこ)は、日本の将棋界に大きな足跡を残した棋士です。1920年1月18日生まれ、1994年12月10日に逝去しました。東京府（現在の東京都）出身で、金子金五郎九段という名棋士に師事し、その門下で将棋の道を歩み始めました。

彼の棋士としてのキャリアは順調なスタートを切ります。1935年に入門後、1944年には四段に昇段。その後、順位戦というリーグ戦で頭角を現します。1946年の第1期順位戦C級では、10勝4敗という優秀な成績を収め、一気に六段に昇段するという快挙を成し遂げました。翌年には8勝4敗でB級に昇級、七段となりました。

特筆すべきは、B級に実に20期もの間在籍したことです。これは、彼の棋力と長く第一線で戦い続けた精神力の証と言えるでしょう。病気などによる休場もあったものの、長きに渡りB級で活躍し続けたことは、他の棋士にはない彼の大きな特徴の一つです。しかし、1969年の第24期順位戦C級1組で1勝11敗と苦戦し、降級点が付いたことを機に、1970年に引退を決意しました。

引退後も、山川次彦の将棋界への貢献は続きます。1974年には、これまでの功績が認められ、八段を贈位されました。これは、現役を退いた後でも、その棋力と将棋界への貢献が評価された証であり、彼の将棋人生の輝かしい締めくくりとなりました。

彼は、将棋棋士としての活動に加え、将棋ジャーナリストとしても活躍しました。「香取桂太」という筆名で、毎日新聞の観戦記を担当していました。観戦記とは、将棋の対局を解説する記事のことです。鋭い視点と分かりやすい解説で、多くの将棋ファンを魅了したと推測されます。さらに、将棋雑誌『将棋世界』の編集長も務めており、将棋界の発展に多角的に貢献したのです。

また、山川次彦は数多くの将棋関連書籍を執筆しています。その著作は、初心者向けの入門書から、上級者向けの戦術書まで幅広く、多くの人々に将棋の楽しさを伝えました。代表的な著書としては、『将棋初歩から初段まで』、『将棋入門―駒の動かし方から初段まで』、『なんでもわかる将棋宝典』などがあります。これらの書籍は、現在でも将棋を学ぶ人々にとって貴重な資料となっています。

山川次彦は、棋士として、ジャーナリストとして、そして作家として、将棋界に多大な貢献をした人物です。彼の活躍は、現代の将棋界の発展に大きな影響を与え続けていると言えるでしょう。彼の生涯は、将棋への情熱と、その道を極めようとする強い意志の物語として、後世に語り継がれるに違いありません。

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