山川発電所

山川発電所

山川発電所は、鹿児島県指宿市山川小川に位置する、九電みらいエナジー（九州電力の子会社）が運営する地熱発電所です。出力は3万キロワットで、地熱によって加熱された高温の蒸気を利用して発電を行っています。阿多カルデラ内部の地熱地帯に位置しており、近くには伏目温泉があります。

特徴

国内の地熱発電所の多くは山間部の高地にありますが、山川発電所は海に近い低地（標高43メートル）に位置しているのが特徴です。海が見えるという珍しい立地条件も持ち合わせています。

発電の仕組み

地下深くから汲み上げられた高温の蒸気を利用してタービンを回し、発電を行います。2009年2月現在、深さ1600mから2100mの井戸が12本あり、合計で1時間あたり225トンの蒸気を得ています。発電に使用された後の熱水は、9本の還元井を通じて地下に戻されます。発電所の運転監視は、約80km離れた川内発電所から遠隔で行われています。

発電設備

山川発電所には、以下の2つの発電設備があります。

山川発電所
定格出力：30,000kW
営業運転開始：1995年（平成7年）3月
山川バイナリー発電所
定格出力：4,990ｋW
営業運転開始：2018年（平成30年）2月

歴史

山川発電所の歴史は、1977年に石油資源開発株式会社が地質調査を開始したことに始まります。

1977年（昭和52年）：石油資源開発株式会社が地質等の調査を開始。
1988年（昭和63年）10月：石油資源開発と九州電力が地熱発電に関する基本協定を締結。
1988年12月：九州地熱株式会社が設立され、石油資源開発から開発事業を引き継ぐ。
1990年（平成2年）：噴気試験により、3万キロワットの発電が可能であることが確認される。
1993年（平成5年）9月：発電所建設に着工。蒸気生産設備は九州地熱株式会社が、発電設備は九州電力が運営することとなった。
1995年（平成7年）3月1日：営業運転を開始。指宿市、山川町、開聞町の約1万5000世帯に電力を供給。日本では7番目、九州では3番目の事業用地熱発電所となる。
2005年（平成17年）2月1日：九州地熱株式会社の事業撤退に伴い、蒸気生産設備が九州電力へ譲渡された。
2016年8月：山川バイナリー発電所の建設地に有った、公園、駐車場の移設工事を開始。
2017年5月：山川バイナリー発電所の発電設備工事開始、同年10月に試験と試運転開始し、2018年2月に営業運転を開始。
2024年4月：山川発電所が九州電力から九電みらいエナジー株式会社（九州電力の子会社）に移管。

見学施設

発電所には展示館が併設されており、地熱発電の仕組みや山川発電所の概要について学ぶことができます。見学も可能で、地熱エネルギーを身近に感じることができます。

その他

山川発電所は、地域の重要な電力供給源としてだけでなく、地熱エネルギーの有効活用を推進する上で、重要な役割を担っています。

出典

参考文献
山川町編　『山川町史（増補版）』　山川町長中村治男、2000年。
外部リンク
九州電力 九州管内地熱・風力発電所
* 日本の地熱発電所　山川発電所-経済産業省資源エネルギー庁

もう一度検索