山彦型駆逐艦

山彦型駆逐艦：鹵獲されたロシア駆逐艦

山彦型駆逐艦は、大日本帝国海軍が日露戦争中にロシア海軍から鹵獲し、編入した駆逐艦の艦級です。この艦級は、元ロシア駆逐艦ソーコル級の「レシーテリヌイ」と「シーリヌイ」の2隻で構成されています。

経緯

日露戦争において、日本海軍は多数のロシア艦艇を捕獲し、これらを整備して自軍の戦力として活用しました。山彦型駆逐艦もその一環として編入されたものです。

レシーテリヌイ (Reshitelny):
1900年（明治33年）に竣工した駆逐艦でした。
黄海海戦後、清国（現在の中国）の芝罘（現在の煙台）に逃げ込みましたが、降伏し日本海軍に捕獲されました。
シーリヌイ (Silny):
1903年（明治36年）に竣工した駆逐艦でした。
日露戦争中に旅順で沈没しましたが、戦後に引き上げられ、日本海軍によって整備されました。

同型艦

1. 山彦 (やまびこ)

旧ロシア駆逐艦「レシーテリヌイ」です。
1904年8月12日に芝罘で降伏、捕獲されました。
1905年1月17日に整備を完了し、当初はロシア側に鹵獲艦であることを悟られないように、旅順港閉塞作戦中に沈没した「暁」の名を引き継ぎました。
同年5月の日本海海戦では、ロシア艦と誤認させることで敵前方に連繋水雷を敷設する作戦が計画されましたが、悪天候のため実行されませんでした。
1905年10月19日に「山彦」と改名されました。
1917年（大正6年）に除籍され、雑役船「山彦丸」となりました。
1919年（大正8年）に廃船となりました。

2. 文月 (ふみつき)

旧ロシア駆逐艦「シーリヌイ」です。
1905年8月に旅順で引き上げられ、整備されました。
1905年9月2日に「文月」と命名されました。
竹敷にて改造・整備が行われました。
1908年5月2日に進水式が行われ、翌年に就役しました。
1913年4月1日に除籍されました。
1914年8月23日に雑役船「文月丸」となりました。
1915年6月28日に廃艦となり、翌年、福岡市の筥崎宮に寄贈されました。

参考文献

艦船模型スペシャル No.17 日本海軍 駆逐艦の系譜 1
片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』光人社、1993年
海軍歴史保存会『日本海軍史』第7巻、第一法規出版、1995年。
『官報』

関連項目

大日本帝国海軍艦艇一覧

山彦型駆逐艦は、日露戦争という時代を象徴する艦級であり、鹵獲艦でありながらも日本海軍の戦力として一定の役割を果たしました。その短い生涯の中で、日本海海戦における秘匿作戦や、その後の雑役船としての судьба など、数奇な運命をたどった艦級といえるでしょう。

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