旅順港閉塞作戦

旅順港閉塞作戦

旅順港閉塞作戦（りょじゅんこうへいそくさくせん）は、1904年（明治37年）2月から実施された日露戦争における作戦で、日本海軍がロシア海軍の旅順艦隊を封じ込めるために行った海上封鎖の試みを指します。日本の海軍は、対露戦争が避けられないものと見て、特に旅順とその周辺の港湾を有効に封鎖する方法を模索しましたが、実際の戦闘においては必ずしも成功を収めることができませんでした。

背景

日露関係が緊迫する中で、日本は対ロシア戦争に備えるための作戦計画を練っていました。当時、日本の主戦場は中国大陸（満州）にあり、陸軍への物資の輸送を海上に依存する必要がありました。さらに、バルチック艦隊と旅順艦隊が合同すると、日本軍にとって不利になると考えられました。

アメリカに留学していた秋山真之は、海上戦力の利用とその理論に関して深い研究を行い、エキスパートとしての地位を確立していました。彼は、旅順の封鎖にリスクが伴うことを認識しつつも、作戦の実施を提案しました。1903年には、古い艦船を利用して旅順港の入り口を閉塞する案が軍令部に提出されました。その後、連合艦隊司令部が設立され、作戦が具体化していきましたが、初期の段階では旅順艦隊の撃破や陸軍の支援を優先し、閉塞作戦は見送られました。

経過

第一次閉塞作戦

旅順口閉塞作戦は、2月18日に東郷平八郎の指令で開始されました。老朽船から成る閉塞船団が組織され、ロシアの砲台の間を進行するも、探照灯に照らされて位置が特定される大きな危険がありました。閉塞船団の最初の突入後は、ロシア軍の激しい砲火を浴び、完全な封鎖には至りませんでした。

第二次閉塞作戦

続いて行われた第二次閉塞作戦は3月27日に実施されましたが、この作戦でもロシア軍に察知され、失敗に終わりました。特に指揮官である広瀬武夫少佐が戦死したことが後世でも語り草になり、彼は「軍神」として崇められました。

第三次閉塞作戦

最大規模の第三次閉塞作戦は5月2日夜に実行される予定でしたが、天候不良によって作戦が中止される決定が下されました。しかし、命令が後続部隊に伝わらず、多くの閉塞船がそのまま突入。結果、依然として旅順艦隊はその活動を続けることが可能な状態でした。

作戦の結果

戦後の東郷司令長官の報告では、作戦は「概ね成功」とされましたが、実際には旅順艦隊は依然として港の出入りが可能でした。結果的に、日本は多くの商船を投入し、閉塞作戦は実質的に失敗に終わります。ロシアは海上での優位を維持し続け、バルチック艦隊の派遣も決定しました。

日本は旅順艦隊の封鎖に取り組む一方で、賢明な判断として陸軍による攻略を要請しました。その結果、乃木大将を指揮官とする第三軍が旅順の包囲戦を開始し、最終的には陸上戦に移行して勝利を収めました。旅順艦隊は完全に殲滅され、数多くの死傷者を出しながらも日本が勝利を収めることに繋がったのです。

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