山本克己

山本克己

山本 克己（やまもと かつみ）氏は、1959年1月15日に誕生した日本の法学者です。長年にわたり日本の法学研究と教育を牽引し、特に民事手続法分野において顕著な功績を残しています。現在は京都大学名誉教授の称号を持ちつつ、追手門学院大学法学部教授として教壇に立ち、さらに弁護士法人西村あさひ法律事務所にも所属し、実務家としての活動も展開しています。専門とする分野は幅広く、民事執行法、民事保全法、倒産法、仲裁法、そして渉外民事手続法といった多岐にわたる領域で深い知見を有しています。

経歴

山本氏の学問への道は、1974年に洛星中学校を卒業したことから始まります。1977年には洛星高等学校を卒業。その後、京都大学法学部へ進学し、法律学の基礎を学びます。在学中の1981年には司法試験第二次試験に見事合格を果たし、法律家としての素養を早期に確立しました。翌1982年に京都大学法学部を卒業後、最高裁判所司法修習を経て、1984年に修了しました。同年、京都大学法学部助手（学士助手）として研究者のキャリアをスタートさせます。

京都大学においては、その卓越した研究能力と教育者としての資質が評価され、着実に昇進を重ねました。1986年には京都大学法学部助教授（民刑事法専攻民事訴訟法講座）に就任。民事手続法の研究・教育の中心的な担い手となります。その後の大学院組織の変更に伴い、1992年には京都大学大学院法学研究科助教授（民刑事法専攻民事手続法講座）となりました。そして、1996年からは京都大学大学院法学研究科教授に昇任し、法学研究の最前線で指導的な役割を果たすことになります。2004年4月からは法政理論専攻において教育・研究活動を継続しました。

研究・教育活動に加え、大学運営においても重要な役割を担いました。2007年には京都大学大学院法学研究科の法曹養成専攻長を務め、将来を担う法曹の育成に尽力します。さらに、2014年には京都大学大学院法学研究科長・法学部長という要職に就任し、学部全体の教育・研究体制の統括にあたりました。翌2015年からは京都大学の副学長を務め、大学全体の運営に深く関与しました。長年の教育・研究への貢献が認められ、2023年には京都大学名誉教授の称号が授与されました。

京都大学を離れた後も、その豊富な知識と経験を社会に還元しています。2023年からは追手門学院大学法学部教授として新たな環境で後進の指導にあたる傍ら、同年より弁護士法人西村あさひ法律事務所に入所し、研究者・教育者としての視点を活かした法実務にも従事しています。

研究分野と主な業績

山本氏の研究は、民事執行法、民事保全法、倒産法といった、現代社会における権利実現や経済再生にとって不可欠な法分野に焦点を当てています。これらの分野は、単に理論的な探求にとどまらず、実際の紛争解決や経済活動に直結する実務的な側面が強いのが特徴です。山本氏は、理論と実務の橋渡しを意識した研究を進めてきました。

その研究成果は多くの重要な著作として結実しています。特に、倒産法や民事再生法に関する著作が多く、『個人再生法の実務』、『民事再生法の実務』、『詳解民事再生法』、『破産法・民事再生法概論』など、新法の制定や改正、実務の進展に合わせて改訂や新たな視点からの解説を加えています。これらの著作は、研究者だけでなく、裁判官、弁護士、企業関係者など、法実務に携わる多くの人々にとって不可欠な参照文献となっています。また、『国際倒産法制の新展開』のような共編著からは、国際的な視点からの研究にも取り組んでいることが伺えます。会社更生法についても、『新会社更生法の理論と実務』といった著作があり、企業再生の実務と理論の深化に貢献しています。

まとめ

山本克己氏は、京都大学での長年にわたる教育・研究活動を通じて、民事手続法分野、特に倒産法・再生法研究において日本の第一人者としての地位を確立しました。大学の要職を歴任し、法学教育行政にも多大な貢献をしました。現在は名誉教授として後進に範を示しつつ、他大学での教育や大手法律事務所での実務活動を通じて、その専門知識を社会に広く還元しています。理論と実務を深く融合させたその業績は、日本の法学界および実務界において、今後も大きな影響を与え続けるでしょう。

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