山本利三郎

山本 利三郎（やまもと りさぶろう）

概要

山本利三郎（1899年4月25日 - 1982年5月30日）は、日本の鉄道技術者として知られ、特に小田急電鉄における発展に貢献した人物である。彼は、同社の3000形電車（通称SE車）の開発を指導し、その思想が後の車両設計に大きな影響を与えた。

経歴

山本は大阪府に生まれ、旧制第四高等学校を経て1924年に九州帝国大学工学部電気工学科を卒業し、鉄道省に入省した。初期のキャリアでは、東京や大阪の様々な機関で実務経験を積み、特に田町機関庫では新たに導入されたイギリス製電気機関車の故障対応に苦労した。彼はまた、志願兵として広島電信第二連隊で1年間Servedも経験している。

1931年には東京鉄道局に転勤し、そこで「関節式新電車ニ就イテ」という革新的な研究資料を発表した。山本はその後、大阪鉄道局福知山運輸事務所長としても活躍し、さらには陸軍省中支派遣軍として上海に駐留したり、広島鉄道局広島運輸事務所長など多くの役職を経験した。1945年には新潟鉄道教習所長を最後に退官し、同年11月から東京急行電鉄に入社。電車部長としての職務を果たした。

小田急電鉄での貢献

1948年に小田急電鉄の取締役運輸担当に就任した山本は、「新宿と小田原を60分で結ぶ」ことを目指してスピードアップに注力した。1951年には、新技術の導入や直角カルダン駆動方式の試験に関与し、山本のリーダーシップのもと、小田急では新たな技術の実験が行われた。

1954年以降、山本は3000形SE車の開発を推進し、社内の反発をものともせずに計画を進めた。SE車は狭軌世界最高速度の記録を達成し、国鉄副技師長の石原米彦によれば、山本がその点検をする様子は「子供が入学試験に通った時のような顔をしていた」という。1959年には技師長も兼任し、以降もさまざまな技術試験に携わった。

1965年には取締役を退任し、その後もスピードアップに関する論文を発表し続けた。彼の最期の論文は、1982年7月号の「汎交通」に掲載され、同年末に実施予定の走行試験を楽しみにしていたが、結果を見ることなく亡くなった。

思想と特徴

山本は特に連接車に強いこだわりを持ち、学生時代からその可能性を探求していた。小田急設立後、彼は連接車の視察を行い、その後SE車を連接車にすることを決意した。連接車は小田急の特徴の一つとなり、彼の思想を色濃く反映している。

また、彼は固定編成の概念を重視し、戦後の小田急においては検査周期が異なる車両でも編成単位での検査を行なう考え方を持っていた。

個人の人柄

山本は政治的駆け引きを嫌い、社交の場を好むタイプではなかった。新入社員を同行し、実地視察に出かけるなど、年功序列を否定し実践的な教育を重視した。スキーや登山が趣味であり、技術の向上についても自身の体験からアイデアを得ることがあった。

評価

山本の鉄道省時代の同僚は、彼が理論的に優れた頭脳を持ちながらも難解な側面があったと評価している。小田急での部下は、彼のまとめる力には非常に高い評価を与えている。

本記事は、山本利三郎の功績とその影響を深く掘り下げるものである。彼の技術者としての歩みとその業績が、現在の鉄道技術にどのように受け継がれているのかを考察する出発点となるだろう。

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