山本登 (経済学者)

山本 登（やまもと のぼる）

山本登（1912年11月5日 - 1991年7月2日）は、日本の著名な経済学者であり、慶應義塾大学の名誉教授です。彼の専門分野は植民政策学と国際経済学であり、戦後の日本における学問の発展に寄与し、多くの学生や研究者に影響を与えてきました。

経歴

山本は東京都大田区大森で生まれました。1919年から学校教育を受け始め、慶應義塾に編入した後、1929年に慶應義塾大学経済学部予科に入学。卒業後は慶應義塾大学に助手として勤め、経済学の講義を担当しました。特に戦局が厳しかった第二次世界大戦中には、南洋諸地域の経済に関する研究を行い、多数の論文を発表しました。

彼は戦後、アジア経済研究所の設立に加わり、1952年にはドイツに留学し、その間に「アジアの地域的経済協力問題」と題する学位論文を提出し、博士号を取得しています。その後、慶應義塾大学国際センター所長や常任理事を歴任し、多くの学会や研究機関で重要な役割を果たしました。彼は1981年に紫綬褒章、1986年に勲二等瑞宝章を受章し、経済学界での貢献が評価されています。1991年に心不全で亡くなるまで、経済学の発展に努めました。彼の息子、山本拓も経済学者として知られています。

研究内容

山本の研究は、初期には景気循環論に焦点を当てましたが、次第にイギリスのブロック経済やアジア、特に台湾や朝鮮の経済に関心が移っていきました。この背景として、慶應義塾大学で担当していた教授の死去に伴い、彼が新たに植民政策の講義を引き受けたことが挙げられます。彼は132本の和文論文と14本の英文論文を残しており、それらは国内外のさまざまな学術誌に発表されています。

彼の研究内容は後世の多くの研究者に影響を与え、『三田学会雑誌 山本登教授退任記念特集号』には彼に関わりのあった多くの学者が寄稿しています。特に彼の経済政策に関する分析や提言は、実務にも応用されることが多く、日本の経済学界において重要視されました。

教育活動

山本の指導するゼミナールは人気が高く、特に「来るものは拒まず」というモットーのもと、多くの学生が入会を希望しました。このゼミは一学年で40名以上の学生を受け入れることもありましたが、全員を受け入れることはできませんでした。彼の教え子には、著名な学者や実業家が多く、彼の影響力と教育者としての功績は非常に大きいです。

主な著書

山本は数多くの著書を残しており、その中には『植民政策』（1942年）や『中ソ対立とアジア諸国』（1971年）、『アジア開発のメカニズム』（1970年）があります。また、共著としては『欧州経済統合の分析と展望』（1964年）があり、彼の広範な知識と視点は他の研究者とのコラボレーションを通じてさらに広がりました。

山本登は、経済学の専門家として、また教育界の巨星として、その功績が今も尚、多くの人々によって評価されています。

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