山本緑

山本緑：昭和を彩った名女優の軌跡

山本緑（やまもと みどり）は、1928年6月1日生まれの日本の元女優です。東京府（現在の東京都）で電気商の次女として誕生しました。幼少期から特技であったピアノの才能を生かし、将来は音楽の道を志すことも考えられますが、人生の転機は思わぬところに訪れます。

予想外の転身と女優への道

目黒女子商業学校卒業後の1945年、空襲によって家が全焼したため、山本緑は母親とともに山形県に疎開。天童温泉のホテルで働きながら生活を送ります。山形新聞社で勤務した経験や、疎開先のホテルの息子との婚約、そして破談という経験も積みました。その後、姉を頼って東京に戻ります。

山形での経験は、山本緑の人生に大きな影響を与えました。上司の影響を受け、鎌倉の建長寺で3ヶ月間の修行に励みます。その後、津田英語塾に入学し通訳を目指しますが、塾での翻訳劇への参加をきっかけに、演技の世界に強い興味を持つようになります。姉の友人を通じて映画界へと足を踏み入れ、1952年、東映東京撮影所に登録演技者として所属することになります。

東映時代と数々の代表作

1953年、映画『ひめゆりの塔』で従軍看護婦役としてデビューを果たします。以後、数々の映画作品に出演。その作品数は膨大で、『継母』『母水仙』『狸小路の花嫁』『母孔雀』など、時代劇から現代劇まで幅広いジャンルで活躍しました。刑事ドラマや時代劇、コメディなど様々な作品に脇役として出演し、作品に深みを与える存在感を示しました。

山本緑が出演した映画作品には、『殺人者を逃すな』『警視庁物語』シリーズ、『少年探偵団』『純愛物語』『爆音と大地』『不良女学生』『米』『逢いたいなァあの人に』『母つばめ』『多羅尾伴内 十三の魔王』など、数多くの作品名があげられます。その活躍は1960年代にまで及び、東映作品を中心に、着実にキャリアを重ねていきました。

私生活と俳優仲間との出会い

1960年11月17日、元俳優の田川勝雄と結婚。出会いは映画のロケ先で、東京東映撮影所所長である山崎真一郎を仲人に迎え、川崎駅交通会館で挙式を挙げました。結婚後も女優業を続け、家庭と仕事の両立に励みました。

テレビドラマへの進出と幅広い役柄

1960年代後半からは、テレビドラマへの出演も開始。代表的な作品として『新諸国物語 紅孔雀』、『特別機動捜査隊』、『悪魔くん』、『河童の三平 妖怪大作戦』、『プレイガール』、『仮面ライダーシリーズ』、『非情のライセンス』シリーズ、『キカイダー01』、『がんばれ!!ロボコン』などがあります。これらの作品において、山本緑は母親役や主婦役などを演じ、多くの視聴者に親しまれました。

晩年の活動と女優としての功績

さらに『Gメン'75』シリーズ、『特捜最前線』シリーズ、『大激闘マッドポリス'80』、『時代劇スペシャル』、『東映不思議コメディーシリーズ』など、数多くのテレビドラマに出演。時代劇から現代劇、コメディーまで幅広く活躍しました。また、アニメーション作品への出演も行い、『おジャ魔女どれみ♯』、『花より男子』などでもその声を聴くことが出来ます。

1970年代から1990年代にかけても精力的に活動を続け、数々の作品で印象的な演技を披露しました。晩年まで女優としてのキャリアを全うし、日本のテレビドラマ、映画史に大きな足跡を残しました。数々の作品への出演を通して、昭和から平成にかけての日本の映像文化に大きく貢献した、山本緑という女優の功績は、今後も高く評価されるに違いありません。

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