山本隆之 (野球)

山本 隆之（やまもと たかゆき）

1979年9月14日生まれ、広島県広島市出身の元社会人野球選手（投手）。松下電器（現 パナソニック野球部）で長年活躍し、チームの栄光に貢献した右腕投手である。

経歴

野球との出会いは小学3年生の時。父親の勧めにより、地元のスポーツ少年団「三入クラブ」に入団した。このチームでは、全国大会で準優勝という実績を残している。

その後、広島県立広島商業高等学校に進学。伝統ある強豪校として知られるが、残念ながら在学中に甲子園への出場を果たすことはできなかった。

高校卒業後は、法政大学に進学。東京六大学野球リーグに所属する名門野球部に入部した。1年秋には早くもベンチ入りメンバーに名を連ね、4年時には全日本大学野球選手権大会にも出場している。しかし、レベルの高い東京六大学野球リーグでの通算成績は、0勝4敗と苦しいものだった。

大学を卒業した2002年、松下電器（現 パナソニック）に入社し、社会人野球選手としてのキャリアをスタートさせた。入社1年目には、社会人野球最大の大会である第73回都市対抗野球大会に出場。チームは勝ち進み、山本は準決勝で先発のマウンドを託された。

チームには当時、プロ野球からの経験を持つ丸尾英司投手らが在籍していたが、彼が登板機会を減らすのと並行して、山本は徐々に存在感を増していく。2004年頃からは、チームの投手陣の中心的存在として、より多くの登板機会を得るようになった。

キャリアにおいて特に輝かしい成績を残したのが、2005年の第32回社会人野球日本選手権大会である。この大会で、山本はチームが戦った全4試合のうち、実に3試合で先発のマウンドに上がった。そして、エースとしての重責を担い、2勝を挙げる活躍を見せた。山本の好投がチームを牽引し、松下電器は5年ぶりとなる日本選手権制覇を成し遂げた。この優勝の立役者として、山本は大会の最優秀選手賞（MVP）に選ばれた。

その後も、山本はチームの主力投手として活躍を続けた。2007年には第78回都市対抗野球大会で優秀選手賞を受賞。2009年には第52回JABA長野県知事旗争奪野球大会で最優秀選手賞に輝くなど、個人としても数々の栄誉に浴している。

2012年シーズンを最後に、長年プレーした松下電器を退部し、現役生活にピリオドを打った。

選手としての特徴・人物

投手としては、正確なコントロールと豊富なスタミナを最大の武器としていた。投球フォームはスリークォーター。長いイニングを投げ抜く能力が高く、ピンチでも粘り強く抑える投球スタイルだった。

選手生活において、興味深いエピソードがある。山本が現役だった時期、特に2004年から2008年にかけて、チームには同姓で同じ投手の山本隆司氏が在籍していた。そのため、スコアボードや新聞などの報道においては、両者を区別するために山本隆之が「山本之」と表記されることがあったという。

主な表彰・タイトル

第32回社会人野球日本選手権大会 最優秀選手賞（2005年）
第78回都市対抗野球大会 優秀選手賞（2007年）
* 第52回JABA長野県知事旗争奪野球大会 最優秀選手賞（2009年）

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