山本雅基

山本雅基氏について

山本雅基（やまもと まさき）氏は、1963年10月24日生まれの日本の社会福祉事業家です。「一般社団法人ハートウェアタウン山谷実行委員会(CCRC)」と「カトリック・ヨセフ・ピタウ大司教記念福祉会」の代表を務めています。かつては「認定NPO法人 きぼうのいえ」の施設長として、また同法人を運営する特定非営利活動法人きぼうのいえの理事長として活動していました。2018年6月に同法人を退職・退任しています。

生い立ちと信仰

山本氏は、東京の両国で生まれ育ちました。通信制の大学で西洋哲学を学び、20歳頃に日本基督教団で洗礼を受けました。1985年の日本航空123便墜落事故の報道に触れたことがきっかけで聖職者を志すようになります。その後、聖公会に転じて堅信礼を受けましたが、最終的にカトリックに改宗し、レデンプトール会の修道会志願者として上智大学神学部に進みました。しかし、司祭になる道は断念することとなりました。

社会福祉の道へ

1995年に上智大学神学部を卒業後、難病の子どもと家族を支援する特定非営利活動法人ファミリーハウスの事務局長に就任しました。2002年からは山谷地区に移り、一時的な緊急宿泊施設「なかよしハウス」と、高齢の生活困窮者を看取るホスピス「きぼうのいえ」を開設しました。

「在宅ホスピスケア対応型集合住宅」という新たな概念を提唱し、高齢で生活に困窮している人々がホスピスケアを受けられるような独居用アパートの運営に力を注ぎました。この取り組みは、従来の施設ケアとは異なる、地域に根ざした高齢者支援の新しい形を示しました。

社会的評価

2008年には、社会貢献支援財団より社会貢献者表彰を妻の美恵氏と共に受賞しました。2011年には、毎日新聞社会事業団より毎日社会福祉顕彰を受けており、その社会貢献活動は広く認められています。

著作と関連作品

山本氏の活動は、以下の著書や関連作品を通して、広く社会に知られています。

著書
『東京のドヤ街・山谷でホスピス始めました。：「きぼうのいえ」の無謀な試み』（実業之日本社、2006年）
『山谷でホスピスやってます。：「きぼうのいえ」、涙と笑いの8年間』（実業之日本社、2010年）

関連作品
ドキュメンタリー映画『マザーテレサと生きる』（千葉茂樹監督、女子パウロ会配給、2009年）
「きぼうのいえ」が取り上げられ、山本氏も出演しています。
映画『おとうと』（山田洋次監督、松竹配給、2010年）
作中で大阪市西成区に設定されている「みどりのいえ」は、「きぼうのいえ」をモデルにしています。

山本氏の活動の意義

山本雅基氏の活動は、単に生活困窮者を支援するというだけでなく、人間の尊厳を重んじ、地域社会とのつながりを大切にするという視点に基づいています。特に、高齢者や難病を抱える人々が、安心して生活できる環境を提供することに力を注いできました。その活動は、社会福祉のあり方を問い直し、新たな可能性を示唆するものとして、多くの人々に影響を与えています。

参考資料

* 山本雅基「東京・山谷でホスピスを始めて -NPO法人きぼうのいえ理事長・施設長が語る-」『人権』第24号、立教大学人権・ハラスメント対策センター、2016年、5-27頁。

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