千葉茂樹

千葉茂樹：映画と教育の道を歩む生涯

千葉茂樹氏は、1933年福島県福島市生まれの映画監督、脚本家、そして教育者である。9人兄弟の次男として育ち、福島県立福島高等学校卒業後、福島大学経済学部へ進学。役場勤務をしながら学業に励む中、黒澤明監督の映画『生きる』を観たことが、彼の人生を大きく変える転機となった。映画監督への道を志し、日本大学芸術学部映画学科へ編入、卒業後は新人シナリオコンクールで最年少入賞を果たす。

このコンクールで審査委員長を務めていた新藤兼人監督との出会いは、千葉氏にとって大きな影響を与えた。新藤監督を生涯の師と仰ぎ、その薫陶を受けながら、大映東京撮影所で助監督としてキャリアを積む。24歳で映画『一粒の麦』の脚本を手掛け、脚本家としてデビューを果たす。その後、新藤兼人が設立した独立プロ近代映画協会に所属し、1974年、短編ドキュメンタリー『愛の養子たち』で監督デビューを果たす。

千葉氏の監督作品は、ドキュメンタリー作品を中心に展開する。中でも、インドの修道女マザー・テレサの活動を追い、世界に発信した『マザー・テレサとその世界』（1978年）は、キネマ旬報文化映画作品賞など数々の賞を受賞し、高い評価を得た。同作品はマザー・テレサの献身的な活動と深い信仰心を世界に伝えるとともに、千葉氏自身の深い感銘と共感を視聴者に伝えた。

その後も、オーストラリアとの友好関係の深化を描いた『豪日に架ける＝愛の鉄道』（1999年）、映画を用いたリテラシー教育をテーマにした『シネリテラシー映画をつくる子どもたち＝オーストラリアの挑戦＝』（2006年）など、多様なテーマの作品を発表。2006年には、豪日交流基金賞を受賞するなど、国際的な活動も展開している。

千葉氏は、映画製作のみならず、教育活動にも積極的に取り組んでいる。近年は、映画製作を通して学ぶ「シネリテラシー」教育に力を注ぎ、東日本大震災の被災地や川崎市など、各地で子どもたちへの映像教育を推進している。講演活動も活発に行い、マザー・テレサや生命尊重、映画製作、教育について全国各地で講演会を開催し、その活動は多岐にわたる。

脚本家として参加した作品には、『山男の歌』（1962年）、『こまどり姉妹』（1963年）、『こころの山脈』（1966年）、『青春ア・ゴーゴー』（1967年）、『哀愁の夜』（1967年）、『高原のお嬢さん』（1965年）、『孤島の太陽』（脚色・1970年）、『モスクワわが愛』（脚本・1975年）、テレビアニメ『山ねずみロッキーチャック』（脚本・1973年）、『赤毛のアン』（脚本・1979年）、『フーセンのドラ太郎』（脚本・1981年）、テレビドラマ『すし屋のケンちゃん』（脚本・1971年）、『ケーキ屋ケンちゃん』（脚本・1972年）などがある。

監督作品には、『平和の巡礼者』（1981年）、『アウシュビッツ・愛の奇跡』（1981年）、『アンデスの嶺のもとに』（1982年）、『こんにちわ地球家族』（1985年）、長編アニメーション映画『ゼノ－かぎりなき愛に－』（脚本・1999年）、『マザーテレサと生きる』（監督・2009年）、『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』（脚本・2010年）などがある。また、文化映画や産業映画、ドキュメンタリー、生命尊重に関するDVD作品なども多数制作している。

著書には、『こんにちわマザー・テレサ』、『こんにちわ地球家族ーマザーテレサと国際養子ー』、『映画で地球を愛したい―マザー・テレサへの誓い』などがある。

千葉茂樹氏の活動は、映画制作を通して社会貢献を行うという、一貫した理念に基づいている。キリスト教徒としての信仰心も、その活動の原動力となっていると言えるだろう。映画監督、脚本家、教育者という多様な顔を持つ千葉氏は、これからも映画と教育を通して、世界に貢献していくことだろう。

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