山村輝治

山村 輝治

山村 輝治（やまむら てるじ）は、1957年1月28日に大阪府大阪市で生まれた日本の実業家です。株式会社ダスキンにおいて、代表取締役社長として長年にわたり経営の舵を取り、現在は代表取締役会長を務めています。

生い立ちと学生時代

大阪で育った山村氏は、幼少期からスポーツ、特に卓球に情熱を燃やしました。大阪市立桜宮中学校在学中には、後のタレントである松本竜助氏とダブルスのペアを組み、練習に励んだといいます。その才能をさらに伸ばすため、親の反対を押し切って卓球の名門校として知られる興國高等学校へ進学。しかし、高校のレベルの高さや、肩を痛めたこともあり、卓球選手としての限界を感じ始めました。同志社大学など、他の大学からの誘いもありましたが、選手としての道を諦め、卓球を続けながらも将来は教員になりたいと考え、推薦入学で大阪体育大学体育学部に進み、1979年に卒業しました。大学在学中の4年生時には、通信教育で佛教大学の小学校2級免許を取得するなど、教員になるための準備を着実に進めていました。

キャリアの転換

大学卒業後、山村氏は念願であった小学校の教壇に立ち、約2年半にわたり講師として勤務しました。しかし、当時の教育現場における日本教職員組合の強い影響力や様々な制約に直面し、次第に教員という職業への疑問や閉塞感を抱くようになります。小学校を辞め、高校で卓球指導者としての道を歩むことも検討しましたが、最終的に進路を変更することを決意しました。

1982年、株式会社ダスキンに入社。当初は女子卓球部のコーチとして、自身の経験を活かした指導にあたりました。しかし、1997年に卓球部が休部となったことを機に、高校時代から使い続けたラケット以外のすべての卓球用品を処分し、選手・指導者としての卓球との関係に区切りをつけました。

ダスキンでの活躍と昇進

卓球部コーチの職を離れた後は、ダスキンの主要事業である訪問販売の営業部門へ異動。現場で顧客と向き合い、サービス提供の最前線で経験を積みました。その中で培った実績と能力が認められ、社内では異例のスピードで昇進を重ねます。特に、部長職には最年少で昇格するという実績を残しました。

2004年には、さらなる若さで取締役への就任を果たし、クリーンサービス事業本部の副本部長として経営の中枢に加わりました。現場での経験と経営的視点を融合させながら、事業部の発展に貢献しました。

社長時代と経営手腕

2009年、山村氏は株式会社ダスキンの代表取締役社長に就任しました。変化する社会情勢に対応するため、新たな経営戦略を打ち出しました。高齢化が進む日本社会を見据え、個人宅向けの清掃サービスなど、高齢者ニーズに応じた事業展開を強化。また、主力のミスタードーナツ事業においては、従来の店舗形態にとらわれない新たなコンセプトの店舗開発や、商品ラインナップの拡充などを積極的に進めました。多角的な事業ポートフォートを持つダスキンにおいて、幅広い分野でリーダーシップを発揮し、企業の持続的な成長に貢献しました。

現在の役職と社会活動

2022年には、長年務めた代表取締役社長の職を退き、株式会社ダスキンの代表取締役会長に就任しました。現在も経営の重要事項に関与し、企業全体の統括にあたっています。

また、企業の枠を超えた社会活動にも積極的に参加しています。日本の清掃関連業界を代表する団体である日本ダストコントロール協会の理事長を務めたほか、社会福祉活動を行うダスキン愛の輪基金の理事長も務めるなど、業界の発展や社会貢献活動にも尽力しています。

山村輝治氏は、卓球に打ち込んだ学生時代から、教員、そして実業家へとキャリアを大きく転換させ、ダスキンにおいてリーダーシップを発揮してきた人物です。その経歴は、変化を恐れず、新たな分野へ挑戦し続ける姿勢を示しています。

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