山梨県民信用組合

山梨県民信用組合について

山梨県民信用組合（やまなしけんみんしんようくみあい）は、山梨県甲府市に本店を構える信用組合です。1953年4月に設立され、当初は甲府中央信用組合という名称でした。2003年には峡南信用組合と合併し、さらに2004年には複数の地域信用組合と統合することで、現在の名称に至りました。これにより、山梨県全域を営業地域とし、店舗の数は一時80店舗近くに達しました。このように、地方銀行である山梨中央銀行と互角に競い合う規模を誇る大規模な信用組合として発展しました。

経営の現状

近年、山梨県民信用組合は厳しい経営環境に直面しています。地域経済の構造的な問題や、主要顧客が中小企業に偏ることが影響しており、特に建設業や装飾品加工業など、景気に大きく左右される業種に依存しています。公共事業の抑制や安価な外国製品の台頭により、これらの産業の需要が減少し、信用組合もその影響を受け、経営難が続いています。2007年度には17億円の赤字を計上し、自己資本比率は4%台に低下。これを受け、2008年には全国信用協同組合連合会から108億円の資本支援を受けています。

経営陣の刷新や店舗の縮小を行ったものの、2009年度には49億円の純損失が発生し、金融庁による監視を強いられました。その後、450億円の公的資金が注入され自己資本比率は回復しましたが、2017年度からは不良債権の処理が本格化するも、5期連続で大幅赤字を計上する事態に至りました。2021年度には自己資本比率が7%台に落ち込んでいます。

ATMサービス

山梨県民信用組合では、ATMを通じた様々なサービスも提供しています。しんくみ お得ねっと提携信用組合のキャッシュカードを使用した出金は、自組合扱いとなります。また、2010年2月から、山梨中央銀行のATMでの引き出し手数料を無料にする提携も開始しています。ただし、山梨中央銀行のキャッシュカードを利用した他行ATMでの出金は、通常の手数料が適用される点を注意する必要があります。

不祥事の発生

経営問題の他にも、山梨県民信用組合では数回にわたる不祥事が報告されています。2006年には支店の職員による顧客の定期預金の着服が発覚し、懲戒解雇と告訴に至りました。2008年には、大口融資先に暴力団関連の企業が含まれていたことが問題視され、二度にわたり業務改善命令を受けています。さらに、同年には営業担当者が顧客のローンを着服していた事案も発覚しました。このように、経営体制の改善が急務とされていますが、信頼回復には多くの時間を要することが予測されます。

まとめ

山梨県民信用組合は、合併を重ねて広がった営業地域とその背景を持つものの、今日では経営の厳しさや不祥事に悩まされている現実があります。特に中小企業の経済状況や、不良債権の管理が大きな課題として残っており、今後の改善策や経営の健全化が求められるでしょう。

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