山梨県総合球技場構想

山梨県総合球技場構想

山梨県総合球技場構想は、山梨県甲府市の小瀬スポーツ公園に、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなどに対応した球技場を建設する計画です。長年にわたり議論と検討が重ねられてきましたが、具体的な進展は見られていません。

構想の経緯

構想は2006年のサッカー専用スタジアム構想に端を発します。その後、2014年には総合球技場構想として署名が提出され、2016年には検討委員会が設置されて議論が行われました。2017年には建設候補地が小瀬スポーツ公園に決定し、着工に向けた準備が進められる予定でした。

この構想は、山梨県が推進する中央新幹線の山梨県駅（仮称）に関連した「リニア環境未来都市」の一環として位置づけられています。事業主体は山梨県です。

「山梨県総合球技場」はあくまで仮称であり、正式名称は未定です。しかし、山梨県庁の資料や一部メディアで使用されているため、本稿では正式名称決定までの間、この名称を使用します。

山梨県内の屋外球技施設

現在、山梨県内のサッカー、ラグビー、アメリカンフットボールの主要大会は、小瀬スポーツ公園陸上競技場（山梨中銀スタジアム、JITリサイクルインクスタジアム）で開催されています。

しかし、小瀬陸上競技場は施設の老朽化やスケジュール上の問題から、新たな専用球技場の必要性が指摘されています。他の球技場も設備面で制約があり、大規模な大会に対応できないという課題があります。

小瀬陸上競技場の問題点

小瀬陸上競技場は1985年に竣工し、その後改修が行われましたが、メインスタンドは竣工時のまま使用されており、老朽化が進行しています。また、陸上競技場であるため、サッカーなどの球技観戦には不向きな構造となっています。

さらに、県内唯一の第1種公認陸上競技場であるため、陸上競技大会の開催が多く、秋の繁忙期にはスケジュールが埋まりやすいという問題があります。そのため、高校サッカーやラグビーの県大会など、一部の大会は他の施設で開催されています。

県内には他に御勅使南公園ラグビー場や富士北麓公園球技場がありますが、これらの施設も老朽化が進んでおり、設備面やアクセス面で課題があります。市町村営の競技場は小規模なものが多く、大規模大会には対応できません。

ヴァンフォーレ甲府における問題

Jリーグに所属するヴァンフォーレ甲府は、小瀬陸上競技場をホームスタジアムとしていますが、同施設が使用できない場合、県内に代替施設がなく、県外での代替開催を余儀なくされます。

2013年には、天皇杯の試合が小瀬陸上競技場でのグラウンド・ゴルフ大会開催と重なり、1000km以上離れた熊本県で開催せざるを得ない事態が発生しました。当時の監督は、ホーム開催権を得ながらも県内で試合ができない状況を嘆き、県全体の協力を呼びかけました。

また、Jリーグクラブライセンス制度では、小瀬陸上競技場の屋根のカバー率不足が制裁対象となっています。基準を満たすには観客席の3分の1を屋根で覆う必要がありますが、費用面の問題から改善が難しい状況です。改善されない場合、ライセンスが交付されず、降格や昇格不可となる可能性もあります。

トイレについても、定員の60%を基準とする特例が適用されていますが、観客動員数が多い試合では不足する可能性があります。

アジアサッカー連盟（AFC）の基準はさらに厳格で、座席の背もたれの有無などが規定されています。小瀬陸上競技場はこれらの基準を満たしておらず、AFCチャンピオンズリーグに出場する場合、基準を満たすスタジアムを代替地として検討する必要があります。

構想の今後

長崎知事は、総合球技場の建設について、財政負担が大きいとして見直しを表明しています。今後は、収益性を重視し、財政負担を減らす方向で検討が進められる見込みです。

ヴァンフォーレ甲府が天皇杯で優勝し、AFCチャンピオンズリーグへの出場権を得たことで、スタジアム問題が再び注目されています。しかし、県は依然として慎重な姿勢を示しており、議論の行方が注目されます。

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