山沢栄子

山沢 栄子: 日本の先駆的女性写真家

はじめに

山沢栄子（やまざわ えいこ、1899年2月19日 - 1995年7月16日）は、大阪市出身の著名な写真家です。彼女は日本の女性写真家としてのパイオニア的存在であり、ポートレートや広告写真を中心に活躍しました。特に1960年代以降に制作された「What I'm doing」シリーズは、抽象的な美しさと意義ある表現が特色であり、現在でも高く評価されています。

生い立ちと教育

14歳という若さで写真を始めた山沢は、1918年に女子美術学校（現・女子美術大学）日本画科を卒業しました。忙しい日々の中で、1926年にはカリフォルニア・スクール・オブ・ファイン・アーツに留学し、油絵を学びました。この期間に、彼女は写真家コンソエロ・カネガの助手を務めながら写真技術を習得しました。1929年に帰国後、彼女は大阪でポートレイトスタジオを設立し、次第にその名を広めていきました。

活躍の場と顧客

1931年には大阪に自身のポートレイトスタジオを開設し、1938年には心斎橋筋に写真場をオープン。彼女の顧客には、著名な文化人や経済人が多く、サントリーの佐治敬三や建築家村野藤吾など、地域の有力者たちと関わりを持ちました。

舞台写真と戦争

1943年、山沢は新劇女優・山本安英と出会い、舞台扮装写真の撮影を始めます。戦争中、彼女は信州に疎開し、約3年間にわたり山本の勉強会に参加しました。終戦後、彼女は戦災でスタジオを失うも、浜地病院に身を寄せ、翌年からは進駐軍P.X.スタジオで再び活動を開始しました。

商業写真から表現写真へ

1950年に山沢写真研究会を設立し、商業写真の仕事も本格的に取り組みました。1952年には大阪のそごう百貨店屋上に新たなスタジオを設立し、1955年には27年ぶりにカネガと再会し、その年に大阪府芸術賞を受賞しました。1960年には営業写真家としての活動を終え、ついに表現としての写真に情熱を注ぎ始めます。この時期、山沢はヨーロッパやアメリカへ撮影旅行を行い、自身のスタイルを確立していきました。

現代写真への進展

1970年代から80年代にかけて、山沢は「私の現代」というテーマで数多くの個展を開催し、独自の視点を表現しました。特に1980年代には、抽象絵画の影響を受けた作品の制作に取りかかりました。1977年には日本写真家協会から功労賞を受賞し、1980年には神戸市文化賞、1982年には日本文化デザイン会議賞も受賞しました。

回顧展と影響

彼女の作品は、1994年に伊丹市立美術館での回顧展でも紹介され、2019年には生誕120年を記念した展示が行われました。これらの展示は、山沢の作品がいかに多くの人々に影響を与え、感動をもたらしたかを物語っています。

出版とグループ展

山沢の業績は、いくつかの写真集としてもまとめられており、1962年の「遠近」や、1982年の「私の現代・2」、1986年の「私の現代・3」等がリリースされています。また、彼女は数々のグループ展にも参加し、作品は国内外で高く評価されています。

結論

山沢栄子は、写真という表現方法を通じて自身の感性を豊かに表現し、多くの人々にその技術と才能で影響を与えてきました。彼女の作品は、今なお多くの人々に愛され、語り継がれています。

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