山王囲遺跡

山王囲遺跡（さんのうがこいいせき）

宮城県栗原市に位置する山王囲遺跡は、縄文時代晩期から弥生時代中期にかけての集落跡であり、1971年に国の史跡として指定されました。この遺跡は、古代の人々の生活や文化を解明するための重要な手がかりを提供しています。

遺跡の概要

山王囲遺跡は、迫川の支流である長崎川の北岸に広がる氾濫原の自然堤防上に位置しています。この地は、1962年に明治大学、1965年に一迫町によって発掘調査が行われました。

発掘された遺物

発掘調査の結果、遺跡の上層からは弥生時代中期の遺物、下層からは縄文時代晩期の遺物が多数出土しました。弥生時代の遺物としては、磨消縄文を持つ土器や石器、合口甕棺などが発見されています。縄文時代晩期の層からは、大洞C2式、大洞A式、大洞A'式の土器が出土し、特に大洞C2式と大洞A式の層からは、クルミ、トチ、クリなどの果皮からなる泥炭層が検出され、漆器や獣骨などが大量に含まれていました。

その他にも、土器が4000点、石鏃や石斧などの石器が1000点以上、土製耳飾りやペンダントなどが1000点以上出土しており、土偶、土板、籃胎漆器、骨角器、編布、木製品なども発見されています。特に注目されるのは、本州で初めて発見された編布です。漆器類も豊富で、籃胎漆器、櫛、腕輪、耳飾り、紐状製品などが見つかっています。また、ヌマガイの貝殻に漆を塗った貝器も多数出土しています。

これらの出土品は、縄文時代晩期から弥生時代中期にかけての生活様式や文化、技術水準を理解する上で非常に貴重な資料となっています。多様な遺物が出土したことから、当時の人々の生活を知る手がかりとして重要な遺跡と位置づけられています。

環境整備

遺跡の一部は史跡公園として整備されており、復元された竪穴建物や資料館（山王ろまん館）があります。この資料館では、出土品が保管・展示され、遺跡の歴史や文化について学ぶことができます。公園に隣接するアヤメ園では、初夏には美しい花が咲き誇り、訪れる人々の目を楽しませています。

まとめ

山王囲遺跡は、縄文時代から弥生時代にかけての貴重な遺物や遺構が発見された重要な遺跡です。史跡公園や資料館として整備され、古代の文化や歴史に触れることができる場所として、多くの人々に親しまれています。

もう一度検索