山田べにこ

山田べにこは、温泉研究家およびエッセイストとして活動していた人物である。群馬県を拠点としていたことが知られている。その生年月日は公表されていないものの、ある出演番組のウェブサイトによれば2009年時点で28歳と記されており、そこから逆算すると1980年または1981年の生まれと推測されている。

彼女が温泉の世界に魅せられたのは、20歳の時に家族旅行で温泉地を訪れたことが契機であった。この体験を機に、彼女は温泉巡りを趣味として始めた。当時は一般企業で会社員として勤務しており、平日はオフィスワークをこなしながら、週末になると自身の軽自動車を運転して、日本各地の山間部や人里離れた場所にある温泉を訪ね歩いた。その探求は熱心で、年間120から130箇所もの温泉を巡り、これまでに訪れた総数は約3,300箇所にも及んだという。

これらの広範な温泉体験から得られた知識と見聞は、彼女を温泉分野の専門家へと導いた。自身の豊富な経験をもとに、温泉に関する書籍や雑誌記事を多数執筆したほか、テレビ番組にも出演して、その魅力を広く世間に発信した。

人柄においても、彼女は周囲から高く評価されていた。常に謙虚な姿勢を保ち、丁寧な言葉遣いを心がけていたという。また、温泉入浴時には必ず掛け湯をするなど、温泉地での基本的なマナーを重んじる態度も、多くの人々から共感を呼んだ。「山田べにこ」という名前自体は、彼女が個人的なウェブサイトを立ち上げる際に付けたハンドルネームであり、特に「べにこ」の部分は、当時飼っていた愛犬の名前から取られたものであると明かしている。

しかし、彼女の温泉関連の活動は長くは続かなかった。2013年11月22日、新たにブログを開設した彼女は、これまでの温泉に関する一切の活動から身を引くことを公表した。同時期に生活の拠点を関西に移し、家庭に専念する主婦としての生活を始めた。そして、同年12月には女児を出産したことを報告し、母親となった喜びを綴った。この新しく始まったブログは、わずか数ヶ月で幕を閉じ、2014年2月3日をもって閉鎖された。

温泉研究家・エッセイストとしての活動期間は限られていたものの、彼女はその間にいくつかの注目すべき業績を残している。

単行本:
『山田べにこのお湯に恋する絶景おふろたび』（ワニブックス、2010年11月出版、ISBN 978-4847019388） - 自身が訪れた絶景に囲まれた温泉を紹介する紀行エッセイ集。

雑誌連載:
『月刊GARRRV』（実業之日本社）にて「べにこ温泉」というコラムを連載していた。

テレビ出演:
『日曜ビッグバラエティ ニッポンの愛すべき“温泉バカ”』（テレビ東京、2009年10月11日）
『新知識階級 クマグス』（TBS） - 僻地温泉の専門家として計5回出演。
2010年3月26日（No.112）
2010年4月29日（No.119）
2010年6月17日（No.127）
2010年7月15日（No.???）
2010年7月29日（No.133）
『野天湯へGo!』（旅チャンネル、2010年9月5日〜2011年） - 自身の名前を冠した野天湯探訪番組。
『新感覚ゲーム クエスタ』（NHK総合）
2010年11月25日
2011年2月24日
『スーパーJチャンネル』（テレビ朝日、2011年2月7日）
『土曜スペシャル』（テレビ東京）
2011年2月12日「芸能界女子温泉部 冬こそ行きたい! 雪見の秘湯」
2011年7月23日「極旅 ～達人と行くガイドに載らないマル秘ツアー～」

アプリケーション:
『べにこの秘湯図鑑 vol.1 自然の中の温泉-無料・寸志温泉めぐり』（iPhone用） - 自身が厳選した秘湯情報アプリ。

温泉という特定の分野に情熱を注ぎ、その魅力を多くの人々に伝えた山田べにこ。短い期間ながらも、彼女の活動は日本の温泉ファンに強い印象を残した。温泉研究家としてのキャリアに終止符を打ち、家庭へとその生活の軸を移した彼女の人生の選択は、多くの人にとって予期せぬものであったが、彼女の温泉への情熱とその足跡は、今もなお多くの文献や記録に残されている。

もう一度検索