山田利明

山田利明：中国哲学と道教の探求者

山田利明氏（1947年生まれ）は、日本の中国哲学・道教学界を代表する第一人者です。東洋大学で長年教鞭をとり、その専門知識と深い洞察で多くの学生を育成してきました。

東京都出身の山田氏は、東洋大学文学部中国哲学科を卒業後、同大学院修士課程を修了。その後、大正大学大学院博士課程に進み、1976年に満期退学。同大学文学部助手として研究活動を開始しました。1983年から1984年にかけては、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員として研鑽を積みました。帰国後、東洋大学文学部講師、助教授を経て、1997年に教授に昇任。

山田氏の研究は、主に中国思想史、とりわけ道教に焦点を当てています。特に六朝時代の道教儀礼に関する研究は高く評価されており、1995年には「六朝における道教儀礼の研究」で大正大学から文学博士号を授与されました。この研究成果は、彼の著作『六朝道教儀禮の研究』(東方書店, 1999)に結実しています。

単著だけでなく、共著・共編著も多く手がけており、その幅広い研究活動がうかがえます。『中国学の歩み 二十世紀のシノロジー』(大修館書店, 1999)では、20世紀の中国学研究の動向を俯瞰的に解説し、『道法変遷 歴史と教理』(春秋社, 2002)では、道教の歴史と教理を詳細に分析しています。さらに、『中国文人書画家名鑑』(世界聖典刊行協会, 1981)や『道教の歴史と文化』(雄山閣出版, 1998)、『講座道教 道教と中国思想』(雄山閣出版, 2000)など、多様なテーマを扱った共編著を通して、中国思想・文化の多様な側面を明らかにしています。近年では、環境倫理にも関心を示し、『エコロジーをデザインする エコ・フィロソフィの挑戦』(春秋社, 2013)を河本英夫氏、稲垣諭氏と共編著しています。

Ciniiなどのデータベースには、山田氏の多数の論文が掲載されており、その研究内容の深さと幅広さが分かります。これらの著作や論文を通して、山田氏は中国哲学と道教に関する深い知識と独自の視点を提供し続け、日本の中国学・道教学界に多大なる貢献をしています。東洋大学教授としての職務に加え、精力的に研究活動を行い、後進の育成にも力を注いでいる山田氏の今後の活躍に期待が高まります。

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