六朝

六朝時代の概観

六朝（りくちょう）とは、中国の歴史において三国時代の呉から南朝の陳にかけての時代を指し、具体的には東晋、宋、斉、梁、そして陳の五つの王朝を含む、計六つの王朝から成り立っています。この時代は、呉が滅亡した280年から始まり、東晋が成立した317年を経て、589年まで続いた「222年 - 589年」を指します。これを六朝文化（りくちょうぶんか）と呼ぶこともあります。この時期、都は現在の江蘇省南京市に当たる建康（建業）に置かれていました。

宗教の興隆

六朝時代は、宗教的な動向が非常に重要な役割を果たしました。この時期には、神秘主義や陰陽五行説といった昔からの思想が根強く残り、その流れを受けつつ新たな文化が形成されていきました。後漢末から続く動乱と社会の変貌が、従来の儒教に代わる新しい精神文化や原理の探求を促す契機となったと言えるでしょう。

儒教と老荘思想

儒教に関連して、魏の王弼が五行説や讖緯説を排除した注釈を行ったことが特に注目されます。この注釈は後々、南朝にも影響を与えました。また、老荘思想の影響を受けた彼の解釈は『易経』にも表れ、儒教と老荘思想が融合しつつ深化していきました。晋および南朝の貴族社会では清談が盛行し、無心の思想に基づいた議論が尊重されました。この文化的風潮の中で、竹林の七賢と呼ばれるグループが、清談を通じて思想的・文学的実践を進めました。その後、郭象は老荘思想（玄学）の発展に貢献しました。

仏教と道教の発展

仏教は後漢時代に伝来しましたが、初期には外来宗教という認識が強く、広まるのには時間が必要でした。しかし、六朝時代に入ると、中国古来の神秘的傾向と老荘思想が融合し、仏教がより深く受け入れられるようになりました。仏図澄や釈道安などの重要な僧侶が、この流れを助けました。特に釈道安は、鳩摩羅什を中国に招くことで仏教の普及に貢献しました。

道教は後漢代の五斗米道に起源を持ち、三国時代に抑圧された後も、4世紀初頭には葛洪が現れ『抱朴子』を書き、道教の教理体系が整えられました。道教信者としては書聖の王羲之が知られ、彼の流れは南朝梁の陶弘景に引き継がれ、茅山派（上清派）道教が形成されました。北朝では寇謙之が新天師道を開くなど、道教もまた発展を遂げました。

六朝の一覧

• - 呉（222年 - 280年）
• - 東晋（317年 - 420年）
• - 宋（420年 - 479年）
• - 斉（479年 - 502年）
• - 梁（502年 - 557年）
• - 陳（558年 - 589年）

関連する時代

• - 三国時代（220年 - 280年）
• - 魏（220年 - 265年）
• - 蜀（221年 - 263年）
• - 晋（265年 - 420年）
• - 五胡十六国時代（304年 - 439年）
• - 南北朝時代（439年 - 589年）

この時代は、数多くの思想と宗教が交差する重要な時代であり、後の中国文化に多大な影響を与えました。

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