山田徳兵衛 (吉徳第11代当主)

山田 德兵衞（やまだ とくべえ）

山田德兵衞は、1939年7月6日に東京に生まれました。本名は忠男であり、実業家として業界に名を刻む存在となりました。彼は、著名な人形問屋である吉德の第11代当主として、その名を世に広めました。彼の親は、先代の十世 山田德兵衞であり、山田の家庭環境は早くから商業に対する理解を深めるものとなっていました。

教育と初期のキャリア

彼は成蹊高等学校を卒業後、成蹊大学の政治経済学部に進学し、1962年に卒業しました。在学中、山田は馬術に情熱を注ぎ、東京都代表として国民体育大会に出場、さらに全日本の中障害競技でも優勝するなど、卓越した才能を見せました。その才能は、東京オリンピックの候補選手として名を挙げられるほどでした。大学を卒業後、彼は貿易会社の野澤組で働くが、1963年末に家業である吉德に入社する道を選びます。

吉德でのキャリア

吉德に入社してから、山田のキャリアは急速に進展します。1965年には取締役に就任し、その後専務、1975年には代表取締役社長に就任します。1984年には家業の名を引き継いで「德兵衞」と名乗るようになりました。社長として、彼は日本の伝統的な人形文化を広めるためのさまざまな取り組みを推進しました。特に印象深いのは、1986年にイギリスのチャールズ3世とダイアナ妃が来日した際に、赤坂迎賓館で日本人形について説明を行ったことです。彼は、国際的な舞台でも日本文化を紹介する機会を持ちました。

人形感謝祭と多方面での活動

1989年に始まった「人形感謝祭」は、山田の発案によるもので、明治神宮で行われるこの祭りは、毎年多くの人々が参加し、日本の人形文化を祝う重要なイベントとなっていきました。また、彼は日本人形協会の会長や東京都ひな人形卸商協同組合の理事長など、多くの職務を歴任しました。これらの役職において、山田は日本の伝統文化を守り、発展させる責任を担っていました。2007年には長男の純一郎に社長職を譲り、吉德代表取締役会長に就任し、以降も業界に貢献し続けます。

追悼と著書

2009年4月27日、山田は肝不全により亡くなりました。亡くなるまでの間に、彼は多数の著書を残しています。『吉徳これくしょん 日本の人形』、そして『図説日本の人形史』などは、彼の専門知識や情熱が詰まった作品です。これらの著作は、日本の人形文化への深い理解を提供しています。

彼の晩年までの彼の貢献は、多くの人々に影響を与え続け、今でも人形文化の発展の基盤を築いた存在として記憶されています。

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