肝不全

肝不全とその分類

肝不全（かんふぜん、英：liver failure）は、肝臓の様々な生理機能が病的に低下した結果、肝臓本来の機能を果たせなくなった状態を示します。通常、肝臓は体内の代謝や栄養素の合成、毒素の分解に重要な役割を果たしていますが、その機能が失われることによって、体全体の恒常性が脅かされ、最悪の場合は命に関わることもあります。肝不全は、一般的に急性肝不全と慢性肝不全の2つのタイプに分類されます。

急性肝不全

急性肝不全は、肝臓に生じた障害による兆候が現れてからわずか4週間以内に肝性脳症を引き起こし、さらにタンパク質の合成も低下する場合を指します。初期の症状としては、皮膚や眼の黄疸（肌や目のくろみが黄色くなる）が見られることが一般的です。急性肝不全にはさらに細かい分類があり、特に重症度が高いものは「甚急性肝不全」と呼ばれ、発症から7日以内に症状が進行します。また、「亜急性肝不全」は、発症から5週から12週間の間で症状が現れるものを指します。

急性肝不全は、ウイルス性肝炎や中毒（特にアセトアミノフェンなど）、自己免疫性肝疾患など様々な原因によって引き起こされることがあります。特に迅速な医療介入が必要であり、最悪の事態を避けるためには、適切な診断と治療が不可欠です。

慢性肝不全

慢性肝不全は、一般的には肝硬変が進行した結果として現れます。肝硬変は、過度のアルコール摂取やB型・C型肝炎、自己免疫性疾患、さらに遺伝性の病気や代謝異常（鉄や銅の過負荷、非アルコール性脂肪性肝炎[NASH]など）によって引き起こされます。慢性肝不全の症状は、進行性であり、初めは無症状であることが多く、徐々に体調不良や倦怠感、黄疸、腹水、出血傾向などが現れるようになります。

慢性肝不全は、発症から何年も経過してから症状が現れるため、初期の段階での検査や早期の治療が、病気の進行を防ぐ上で非常に重要です。肝硬変の原因を特定し、適切な生活習慣の改善や医療的介入を行うことで、慢性的な肝不全の進行を抑制することが可能です。

結論

肝不全は深刻な健康問題であり、患者の生存に直結する病態です。急性肝不全は緊急を要する状態で迅速な治療が必要な一方、慢性肝不全は長年にわたって徐々に進行します。肝臓の健康を保つためには、定期的な健康診断や、肝炎予防、生活習慣の見直しが非常に重要です。

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