山田悟六

山田悟六は、1898年（明治31年）8月21日、群馬県に生を受けました。明治から昭和にかけての近代日本の激動期を生き、政治家として、また実業家として多方面にわたり活動を展開した人物です。1964年（昭和39年）5月17日にその生涯を終えました。

故郷で育ち、勉学に励んだ山田は、1918年（大正7年）に群馬県立勢多農林学校の農林科を卒業しました。この時の農林業に関する学びは、後の地域活動、特に農業関連の分野で活かされることとなります。

卒業後の山田は、郷土の発展に深く根差した活動を開始しました。まずは、自身の地元である采女村（現在の伊勢崎市の一部）において村長として地方自治の担い手となり、地域住民のために尽力しました。また、農業の生産基盤を支える重要な事業である耕地整理にも熱心に取り組み、采女剛志や大正用水といった主要な耕地整理組合で組合長を務め、農地の整備や改良を推進しました。さらに、戦後の混乱期においては、地域農業の再建と振興を目指し、采女農業協同組合の設立や運営に中心的な役割を果たしました。

山田の活躍の舞台は行政や農業分野に留まりませんでした。実業家としても卓越した手腕を示し、様々な事業を手がけました。地元伊勢崎の鉄工所である有限会社伊勢崎鉄工では代表社員を務めたほか、伊勢崎重工業株式会社、伊勢鉄航空工業株式会社、日本樽材工業株式会社、そして山田不動産株式会社など、多様な業種の企業の経営に携わりました。これらの事業経営を通じて、地域の産業振興や経済の活性化に貢献したと考えられます。

第二次世界大戦後の新たな政治体制の下、山田は国政への参加を決意します。1946年（昭和21年）に実施された第22回衆議院議員総選挙に、地元群馬県選挙区から日本進歩党の公認候補として出馬しました。この選挙において当選を果たし、初めて衆議院議員として議席を獲得しました。国会では、戦後の混乱期における国政の議論に参加し、国民生活の安定や復興に向けた政策形成に関わったものと推測されます。

所属政党である日本進歩党内においては、遊説部の副部長という役職に就きました。これは、全国各地で党の政策を広く国民に訴えかけ、支持を拡大するための重要な役割であり、山田は党勢拡張のために精力的に活動を行ったと考えられます。

しかし、山田の衆議院議員としての任期は長くは続きませんでした。翌1947年（昭和22年）に新たな憲法の下で行われた第23回衆議院議員総選挙には、様々な理由から出馬しませんでした。これにより、衆議院議員としてのキャリアは1期のみで終了することとなりました。

その後、国政の表舞台からは退きましたが、これまでの豊富な経験と地域社会への深い関わりから、引き続き郷土の発展のために何らかの形で貢献を続けた可能性が高いでしょう。

山田悟六は、行政官、農業指導者、そして多角的な実業家として、地域社会に貢献し、その活動の集大成として国政にも携わった人物です。1964年（昭和39年）5月17日に65歳で永眠しました。

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