山田祐嗣

山田 祐嗣

山田 祐嗣（やまだ ゆうじ、1934年 - 2020年11月28日）は、日本の元アナウンサーであり、後進のアナウンス指導者として知られる人物です。

ニッポン放送に入社後、フジテレビへ移籍。長年にわたり主要なスポーツ中継や情報番組、バラエティ番組などで活躍しました。フジテレビ退職後は共同テレビの取締役を務め、その後はフジテレビおよびFNN系列局の新人アナウンサー研修や、アナウンススクール「アナトレ」で特別講師として教鞭を執り、数多くの後輩育成に尽力しました。

来歴とキャリア

東京府（現在の東京都）に生まれた山田祐嗣氏は、東京都立日比谷高等学校を経て慶應義塾大学文学部を卒業後、1957年にアナウンサーとしてニッポン放送へ入社しました。

ニッポン放送時代の同期には、後にフジテレビの「アナトレ」で共に講師を務めた枇杷阪明氏や、リポーターとして著名な東海林のり子氏らがいます。特に枇杷阪氏とは、中学・高校時代からの長い親交がありました。

1959年、開局間もないフジテレビに出向し、ニッポン放送の業務と兼任しました。その後、1962年に正式にフジテレビへ移籍します。移籍後は、1964年の東京オリンピックを皮切りに、モントリオール、ロサンゼルスといった夏季オリンピック競技大会の実況をはじめ、ボクシングやプロ野球など、数々のスポーツ中継で中心的な役割を果たしました。

また、スポーツ分野以外でも、長寿番組「スター千一夜」で司会を務めるなど、報道やバラエティ番組にも携わり、幅広いジャンルでその才能を発揮しました。

主な実況エピソード

ボクシング中継においては、元世界ジュニアミドル級王者である輪島功一氏の世界タイトルマッチを、後輩の逸見政孝氏と交互に実況しました。特に、1971年に輪島氏が王座を獲得したカルメロ・ボッシ戦や、翌年のマット・ドノバン氏との2度目の防衛戦における実況映像は、現在でも歴史的資料として残されています。

1978年のプロ野球日本シリーズ第7戦では、ヤクルトスワローズの大杉勝男選手の打球判定を巡って、1時間19分に及ぶ長時間の試合中断が発生しました。この歴史的な場面の実況を担当したことでも知られています。

管理職そして指導者へ

アナウンサーとしての現場経験に加え、報道局解説放送室長や編成局アナウンス部長（現在の編成制作局アナウンス室長に相当）といった管理職も歴任しました。1986年からは定年を迎える1989年まで、編成局次長とアナウンス部長を兼務しました。

フジテレビを定年退職後も、共同テレビの取締役を務めるなど、メディアの世界に留まりました。その後、アナウンサー人生で培った豊富な経験と知識を活かし、フジテレビやFNN系列局の新人アナウンサーに対する研修指導講師、そして「アナトレ」の特別講師として、後進の育成に情熱を注ぎました。

「声は人なり」という言葉を座右の銘とし、アナウンス技術だけでなく、日本語の奥深さや、「喋りの職人」としての心得、人間性の大切さなどを丁寧に伝えました。須田哲夫氏、堺正幸氏、田丸美寿々氏、福井謙二氏、益田由美氏など、多くの著名なアナウンサーたちの採用や育成にも深く関わり、彼らの成長を支えました。

定年後も、死去するまでフジテレビからの依頼を受け、特別講師として後輩アナウンサーの指導にあたり続け、メディア界における人材育成に多大な貢献をしました。

死去

山田祐嗣氏は2020年11月28日、肺がんのため死去しました。享年86。訃報は同年12月5日に公表されました。

主な担当番組

スター千一夜（司会）
スポーツ中継各種
プロ野球中継
プロ野球ニュース
ダイヤモンドグローブ
ワールドカップバレーボール
春の高校バレー
オールスター紅白大運動会（第1回実況）

関連人物

* 今井 彬（ニッポン放送時代の同期であり、フジテレビアナウンス室長の前任者）

（出典：公開情報に基づく）

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