山田雅史

山田雅史（やまだ まさふみ）は、1976年に京都府京都市で生まれた日本の映画監督です。彼はキャリアの出発点として、まず京都高等工芸専門学校（現在の京都芸術高等学校）で絵画やデザインといった美術分野を深く学びました。卒業後、自身の表現の場を映像へと移すため、ビジュアルアーツ専門学校大阪に入学し、本格的に映画製作への道を歩み始めます。

専門学校在学中には、主に短編映画の製作に注力し、卒業後に満を持して初の長編自主制作映画『RIDDLE』を発表。この作品は大阪でレイトショー上映され、注目を集めました。続く長編『つぶろの殻』は、その才能を広く知らしめる転機となります。同作は「第26回ぴあフィルムフェスティバル」で観客賞を受賞しただけでなく、バンクーバー国際映画祭、釜山国際映画祭、サラエボ映画祭といった国際的な映画祭でも次々と上映されました。これらの国際舞台において、山田監督の作品は、美術教育で培われた絵画的な映像美と、独自のシュールで独創的な世界観が高く評価され、その名を確立しました。

2005年には、大阪市映像文化振興事業であるシネアスト・オーガニゼーション大阪からの助成を受け、映画『堤防は洪水を待っている』を監督します。その後、『ほんとうにあった怖い話』シリーズのビデオ作品を4本監督するなど、ホラー分野での実績を積み重ねました。そして2009年、川村ゆきえが主演を務めた『ひとりかくれんぼ 劇場版』で商業映画監督としてのデビューを飾ります。翌年には続編となる『ひとりかくれんぼ 新劇場版』も手がけました。2011年にはシマフィルム製作の『天使突抜六丁目』、2012年には『×ゲーム２』、2013年には『トイレの花子さん 新劇場版』や『リアル人狼ゲーム』といったジャンル映画を次々と発表。

特にホラーゲームを原作とした『コープスパーティー』（2015年）では乃木坂46の生駒里奈を主演に迎え、続く2016年には続編の『コープスパーティー Book of Shadows』も監督し、この分野での存在感を確固たるものとしました。他にも東映 presents HKT48×48人の映画監督たちの一本である短編映画『エリマキ男とボク少女』（2017年）や、『黒看』（2018年）、『ほぼ日の怪談』（2020年）、AKB48の小栗有以や倉野尾成美が出演したオムニバスホラー『未成仏百物語』（2021年）、『ヒッチハイク』（2023年）など、多数の劇場公開作品を手がけています。

山田監督の活動は映画に留まらず、その表現の幅を広げています。2020年には伊藤健太郎主演の朗読劇『虹男』や、黒羽麻璃央が出演したオンライン朗読劇『たもつん』の演出を担当しました。また、2014年にはビヨンセの日本版PVキャンペーン映像、2017年には谷山紀章のMV「Start Your Live」の監督・編集を手がけるなど、音楽関連の映像制作にも関わっています。2022年には、人気YouTubeチャンネル「Lazy Lie Crazy【レイクレ】」のてっちゃんや柚来しいなが出演したWEBドラマ『恋、しよう』の監督を務めるなど、新しいメディアにも意欲的に取り組んでいます。

さらに、いまおかしんじ監督の映画『いくつになってもやりたい男と女』（2007年）には俳優として出演した経験もあり、映像表現に対する多角的な視点を持っています。ビデオ作品としては、『ほんとうにあった怖い話』シリーズの「憑依」「闇サイト」「呪い」「神隠し」といったエピソードや、『リアル肝試し』（いずれも2008〜2009年頃）の監督を務めています。

初期の自主製作作品で国際的な評価を得た山田雅史監督は、ホラーを中心とした商業映画で数々の作品を世に送り出しつつ、朗読劇、MV、WEBドラマといった多様なメディアでの表現にも挑戦し続けています。その活動はジャンルを問わず幅広く、今後のさらなる展開が期待される映画監督の一人です。

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