山葉直吉

山葉直吉 — 日本のピアノ製造技師

山葉直吉（やまは なおきち、1881年 - 1938年）は、日本の著名なピアノ製造技師として知られています。彼の生涯にわたる業績と、ピアノ製造に対する情熱は、後の音楽界に多大な影響を及ぼしました。

人物背景

山葉直吉は1881年、旧姓尾島として生まれました。10歳の時、彼は山葉オルガン製造所（後の日本楽器製造株式会社）に弟子入りし、そこで山葉寅楠の指導を受けます。彼はその後、寅楠の姪と結婚し、山葉という姓を名乗ることとなります。直吉は、19歳で日本楽器製造の初代ピアノ部長に就任し、さらには43歳で工場長を兼任するという重要な役割を担います。

部下にあたる中谷孝男は、直吉を先生と慕い、彼の人柄を「慎重居士」と評しました。この慎重さは、彼自身の意思表示に対する姿勢にも現れ、周囲との関係性においても重要な要素となりました。

業務と挑戦

1927年、経済的な背景や労働争議が影を落とし、山葉直吉は工場長を辞任します。翌年には、日本楽器製造からの正式な退職を決意しました。その後、彼は山葉ピアノ研究所を設立し、他の退職した技師たちと共に「N.YAMAHA」ブランドとしてのピアノ製造に挑戦します。彼の指導のもと、多くの優れた楽器が生まれることになります。

直吉メモ

山葉直吉の職業生活で特筆すべきことは、彼がピアノ製造の状況を記録していた「直吉メモ」です。この手帳には、製造番号1001番から始まるピアノの生産数量や年次が記されており、例えば1900年には2台、1901年には6台、1902年には8台、1903年には21台が製造されたことが示されています。

残念ながら、その原本は現存していませんが、中谷孝男の夫人が一部を手書きで写しており、また、山葉ピアノに関する研究本でも引用されています。このメモは、直吉の職人的な姿勢や、情熱が感じられる貴重な記録です。

影響と関連項目

山葉直吉の業績は、今もなお日本の楽器製造業に影響を及ぼしています。ヤマハブランドは、その象徴でもあります。直吉の指導の下、他の技師たち（例：河合小市、大橋幡岩など）も多くの技術を学び、発展していきました。直吉の歩みを通じて、日本の音楽文化の発展に貢献したことは間違いありません。

山葉直吉は1938年に亡くなるまで、音楽とその楽しさを広めるために尽力しました。彼の功績を忘れずに、これからも敬意を表していきたいものです。

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