山路哲生 (プロ野球審判)

山路 哲生（やまじ てつお）氏は、1979年10月12日生まれの日本のプロ野球審判員です。

九州国際大学を卒業後、一般企業での勤務を経て、審判員への道を歩み始めました。オオニシスポーツに勤務していた時期には、広島県高校野球連盟の審判員としても活動しています。こうしたアマチュアでの経験を経て、2004年にパシフィック・リーグ審判部へ入局し、プロの世界に入りました。

プロ審判員としてのキャリアは長く、これまでに着用した袖番号も複数あります。入局当初の「37」（2004年～2005年）から、「5」（2006年～2010年）、「45」（2011年～2020年）を経て、現在は「11」を使用しています。一軍公式戦での初出場は、2005年7月9日にフルキャストスタジアム宮城で行われた楽天ゴールデンイーグルス対千葉ロッテマリーンズ戦で、この時は三塁塁審を務めました。

プロ野球審判員として多くの経験を積み、その出場試合数は2024年シーズン終了時点で1508試合に達しています。特に、2019年8月15日にメットライフドームで行われた埼玉西武ライオンズ対オリックス・バファローズの試合では、一塁塁審として通算1000試合出場という節目の記録を達成しました。これはプロ野球審判員史上129人目の快挙です。

オールスターゲームには3度（2009年、2018年、2024年）選出されており、初出場となった2009年7月24日の第1戦（札幌ドーム）では、いきなり球審を務めるという経験をしています。また、日本シリーズにも2回（2021年、2024年）出場し、プロ野球の最高峰の舞台でジャッジを行いました。国際舞台では、2023年11月に東京ドームで行われた第2回アジアプロ野球チャンピオンシップに派遣され、4試合を担当し、3位決定戦では球審を務めました。

審判員の判定は常に注目されますが、特にハーフスイングを巡る判断は、その難しさから時に議論を呼ぶことがあります。山路審判員に関連しても、近年、いくつかの場面でその判定が大きく取り上げられました。

2022年10月12日、セントラル・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第2戦（一塁塁審）。この試合の2回表、阪神タイガースの原口文仁選手のハーフスイングに対して、スイングと判定し空振り三振を宣告しました。この判定がなければ、原口選手は四球で出塁し無死一・二塁となっていたため、試合展開が変わった可能性があったという指摘がなされました。この出来事は、J-CASTニュースでリプレー検証の適用検討を提言する論調で報じられたり、海外の野球関連SNSアカウントでも取り上げられるなど、波紋を広げました。

また、2023年6月24日、横浜スタジアムでの横浜DeNAベイスターズ対阪神タイガース戦（球審）。3回裏二死走者なし、DeNAの佐野恵太選手の打席で、低めのスライダーに対するハーフスイングをボールと判定。佐野選手はその後に二塁打を放ち、DeNAの先制点につながりました。一方、9回表二死一塁、阪神のヨハン・ミエセス選手の打席で、同じようなハーフスイングを塁審への確認なしにストライクと判定し、三振で試合終了となりました（DeNAが3対1で勝利）。この両打者への判定の差に対し、阪神の岡田彰布監督は試合後、「こっち（ミエセス）スイング取られておまえ、佐野なんか三振で三者凡退やんけ」「1対1で同点やんか」などと、強い不満を表明しました。さらに、山路氏自身も球場出口付近で阪神ファンと思われる男性から罵声を浴びせられる事態となりました。この判定について、ロンスポの論評記事ではスロー映像に基づき、両者のスイングは酷似しており、一方をストライクとするならもう一方も、一方をボールとするならもう一方も同様であるべきだとの見解が示されています。これらのエピソードは、プロ野球という注目度の高い舞台での審判員の判断がいかに重要であり、時に大きな反響を呼ぶかを示しています。

審判員としての実績は確固たるものであり、2007年にはイースタン・リーグ優秀審判員として表彰されています（この記録は2022年シーズン終了時点のもの）。

九州国際大学出身者の一人であり、他のプロ野球審判員と同様、厳格なジャッジと公正な試合運営のために日々務めています。

もう一度検索