山野井昇

山野井 昇（やまのい のぼる、1947年生まれ）は、日本のマイナスイオン研究を牽引する専門家であり、現在、日本マイナスイオン応用学会の会長を務める人物です。

経歴と研究の歩み：東京電機大学を卒業後、40年以上にわたり東京大学医学部で研究に没頭しました。初期は文部技官、教務職員として、その後は助手として勤務。この間、人工心臓の部品開発や駆動装置設計など、当時の先端的な医用工学プロジェクトに深く関与し、東京大学工学部での特別研修を通じて医工学の基礎を築きました。

専門分野の広がり：彼の専門性は医用電子、生体工学、生体物理医学、健康科学といった分野に及びます。特にキャリア初期、1970年代から1990年代にかけては、人間工学や医療情報学、医用電子工学の観点から、超音波ホログラフィの医療応用、自動車運転中の生体反応、医療機器の操作性向上など、幅広いテーマに取り組み、査読付き論文も発表しています。その後、研究の焦点は次第に変化し、マイナスイオン、水素、電子、磁気、香りといった、より広い意味での健康科学や補完代替医療に関連する分野の応用技術へと注がれるようになりました。

主要な活動と貢献：東京大学での長年にわたる教育・研究活動に加え、明治鍼灸大学や早稲田大学での特別講師も務めました。2012年3月に東京大学を定年退職後、その直後の5月には一般財団法人未来医学財団を設立し、理事長に就任。学術界での貢献としては、日本マイナスイオン応用学会会長、日本未病システム学会理事などを歴任し、関連分野の普及・発展に尽力しています。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の評価委員を務めるなど、社会活動も積極的でした。

著作・発表：彼の研究成果や知見は、多くの著書や学術論文、講演として広く公開されています。主な著書には、健康科学やマイナスイオン、水素に関する入門書や解説書が多く、例えば『水素と電子の生命』『マイナスイオンできれいになる！』『マイナスイオン水健康術』などが挙げられます。これらの書籍を通じて、専門知識を一般の人々にも分かりやすく伝えています。学術論文や講演では、キャリア初期の工学的テーマから、「マイナスイオンと健康」「健康水素水の現状と課題」「生体物理医学からみた東洋思想」といった後年の研究テーマまで、多岐にわたる内容を発表しており、その探求心の広さを示しています。

山野井昇は、伝統的な医用工学から出発し、マイナスイオンなどの応用技術へと研究対象を広げたユニークなキャリアを持つ研究者として、日本の健康科学分野、特にマイナスイオン関連分野の発展に重要な足跡を残しています。彼の活動は、科学技術と健康の関わり、そして補完代替医療の可能性を探求する上で重要な示唆を与えています。

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