山野辺義忠

山野辺義忠（やまのべ よしただ）の生涯

山野辺義忠は、安土桃山時代から江戸時代前期に活躍した武士で、最上氏の一門に属し、最終的には水戸藩の家老となりました。彼の生誕は天正16年（1588年）で、最上義光の四男として生まれました。母の情報は残っておらず、出身地に関する伝承としては、大石田町深堀に住んでいた郷士の娘であると言われています。

幼少期と関ヶ原の戦い

義忠は、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの前に、徳川家康の人質として差し出されました。戦後彼は名を光茂と改め、慶長6年（1601年）には山形に帰国し、19,300石の城主となり、山野辺氏の名跡を受け継ぎました。

善政の実施

山野辺城に入った光茂は、城の拡張や城下町の建設、市の開設など、多くの治水事業や交通網の整備を手がけました。特に釣樋堰の治水事業は評価され、彼はこのような施策を通じて善政を実施することに努めました。

最上家の内部対立

元和3年（1617年）、兄の最上家親が亡くなった後、義忠の甥である家信が当主となりました。しかし、家信はその若さと遊興を好む性格から、家臣たちの信頼を得られず、「家信は国政を聴く事を得ず」と批判されました。その結果、家信派と義忠派の対立が生じ、これが後に最上騒動として知られる内紛に発展します。

幕府からの処分

この内紛により、江戸幕府は家信側の松根光広を追放し、藩内の融和を図ろうとしましたが、家臣たちの多くは家信への協力を拒否しました。その影響で、元和8年（1622年）に義忠は幕命により改易され、備前国岡山に流罪となりました。彼はその後、岡山の池田忠雄に預けられ、12年間を幽閉の中で過ごしました。

水戸藩での再出発

寛永10年（1633年）には徳川家光の命で水戸藩主徳川頼房に預けられ、1万石を賜り、家老職に就任しました。また、世子である光圀の教育係も務め、彼の教育に貢献しました。光圀が藩主となった際の寛文3年（1663年）、義忠は隠居し仏門に入ることを決意し、道慶と号しました。

晩年と家系への影響

その後、寛文4年（1664年）12月16日に亡くなり、享年77歳でした。義忠は最上義光の子供の中で唯一、天寿を全うしたことで知られています。彼の子である義堅も光圀に仕え、その子孫は代々家老職に就いたと言われています。しかし、最上騒動の後、山野辺家は大きな権力には関与せず、特に江戸後期の1820年代後半まで主に朝廷や将軍への儀礼を行うのみであったとされています。

参考資料

• - 『寛政重修諸家譜』
• - 『山形市史』
• - 『水戸市史』
• - 鈴木彰『幕末の日立―助川海防城の全貌』

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