山陽ジャスコ

山陽ジャスコ：広島の地に花開いたスーパーマーケットの軌跡

山陽ジャスコは、広島県を舞台に活躍したジャスコ系列の地域企業です。その歴史は、1960年9月に呉市に本拠を置いていたスーパーマーケット『やまてや』に遡ります。やまてやは、地域に根付いた中堅企業として着実に成長を遂げていました。

しかし、時代の変化と競争激化を肌で感じていたやまてやの経営陣は、将来を見据えた戦略を模索していました。アメリカの小売業視察をきっかけに、経営陣は危機感を募らせます。そして、1970年6月、同業3社との業務提携という大きな一歩を踏み出しました。この提携は、後に山陽ジャスコ誕生へと繋がる重要な出来事となります。

1971年7月には、中国ジャスコが設立されました。これは、複数のスーパーマーケットが連携することで、競争力を高め、新たな市場を開拓しようという試みでした。この取り組みは成功し、やまてやはジャスコとの合併という大きな決断へと至ります。5年後、10年後の将来を見据え、経営陣は合併に合意しました。

1972年8月、ジャスコは第二次合併を実施し、京阪ジャスコとともにやまてやを傘下に収めました。合併比率は1対0.35。この合併は、やまてやにとって大きな転換期となりました。同年5月には、やまてやの事業を引き継ぐための受け皿として山陽ジャスコが設立されています。やまてやは、合併時点で5店舗を展開していました。やまてや社長は、ジャスコの取締役、そして山陽ジャスコの社長に就任しました。

山陽ジャスコは、やまてやの事業を継承し、順調に成長を続けました。1976年には、可部店を出店し、広島市に進出。その後も積極的に店舗展開を進め、1980年までに5店舗まで拡大しました。1981年には本社を広島市に移転し、事業の基盤を強化しました。

1984年には、中国ジャスコと合併。さらに、1986年には、地元スーパー『みどり』とジャスコを繋ぐ役割を果たしました。翌年には山陽ジャスコの社長が『みどり』の代表取締役社長を兼任するなど、地域社会における存在感を強めていきました。その後、『みどり』へ大型店3店舗を譲渡するなど、事業構造の変化にも対応しています。

しかし、時代の流れは激しく、1993年11月、山陽ジャスコはジャスコ本体に営業を譲渡。そして、1994年2月、その歴史に幕を閉じました。

山陽ジャスコは、やまてやという地域密着型スーパーマーケットから始まり、ジャスコという大企業傘下で成長を遂げながらも、地域社会に貢献した企業として、その存在は記憶に刻まれています。その歴史は、スーパーマーケット業界の変遷、そして地域経済の動向を知る上で貴重な資料となるでしょう。

参考文献

『ジャスコ三十年史』ジャスコ株式会社、2001年12月20日発行

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