岡安辰雄

岡安 辰雄

岡安 辰雄（おかやす たつお、本名：伊藤 辰雄）氏は、1934年5月19日に愛知県に生まれ、2014年5月31日にその生涯を閉じた、日本の演劇評論家であり元新聞記者です。愛知県西尾市で生を受け、地元の愛知県立西尾高等学校を1953年に卒業後、愛知大学法経学部経済学科で学び、1957年に卒業しました。

新聞記者としてのキャリア

大学卒業後、1957年に名古屋タイムズ社に入社し、ジャーナリストとしての第一歩を踏み出しました。ここでは報道部長、文化部長、編集局次長といった要職を歴任。その後、中日新聞社へと移籍し、2010年に放送芸能部を退社するまで、長年にわたり新聞記者として活動しました。記者時代は「芸能」分野を中心に取材・執筆を行いましたが、それ以外にも「釣り」や「囲碁」といった幅広いジャンルの記事を手がけています。

演劇評論家としての活動

中日新聞社を退社した2010年以降は、演劇評論家およびフリーランスの記者として活動を続けました。特に東海地方における舞台芸術に深い洞察を示し、その活動期間は半世紀以上に及びます。御園座、名鉄ホール、中日劇場といった中京圏の主要な劇場で上演される興行を主な対象とし、多くの公演の稽古場に足を運び取材を重ね、プログラムの執筆も精力的に行いました。

岡安氏は、歌舞伎や一般的な芝居、舞踊といった様々な舞台芸術について、専門的な知識を持たない観劇者にも理解しやすい解説で知られました。その文章は明快かつ的確であり、多くの人々が舞台芸術への理解を深める助けとなりました。また、そのユーモラスで温かい人柄は、多くの役者や舞台関係者から慕われ、劇場コミュニティにおいて重要な存在でした。

長年にわたり、中京五流舞踊公演や、特に名古屋西川流の名古屋をどりには、評論活動の初期から深く関わっています。まだファクシミリが一般的でなかった時代には、取材や観劇を終えるとすぐに名古屋中央郵便局へ向かい、立ったまま原稿を書き上げて速達郵便で送付することを常としていたというエピソードは、その仕事への情熱と迅速さを物語っています。記者として初めて取材したのは、歌手であり女優の丹下キヨ子でした。

貢献と評価

岡安辰雄氏は、日本伝統芸能を含む舞台演劇の評論家として、主に東海地方において舞台芸術の普及と発展に大きく貢献しました。その評論活動は、地域の劇場文化を活性化させ、多くの観劇者や舞台関係者に影響を与えました。

所属団体

日本演劇協会評論部
CBCクラブ名誉会員
2010年あいちトリエンナーレ 公募選考委員
名古屋演劇ペンクラブ理事
中京通信
むすめ歌舞伎顧問
日本舞踊芝流芝之会顧問

受賞歴

2001年：NPO世界劇場会議 名古屋 第6回ITCN文化賞
2011年：第52回CBCクラブ文化賞
2012年：愛知大学優秀奨励賞

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