岡山不衣

岡山不衣の生涯と業績

岡山不衣（おかやま ふい、1885年12月9日 - 1943年11月29日）は、岩手県花巻市に生まれた著名な俳人であり、新聞編集者です。彼は岩手毎日新聞社で主筆を務め、その編集方針や文学界への影響を大いに及ぼしました。生まれた時の本名は伊藤儀七ですが、養子に出たため岡山儀七と名づけられました。

生い立ちと教育

不衣は貴族院議員の伊藤儀兵衛の四男として誕生しています。1889年に岡山直機の養子に入り、家族の名を継承しました。旧制岩手県立盛岡中学校に入学し、当時の同級生である石川啄木と知り合いました。啄木は一つ年上で、不衣は短歌作りでの活動を始めます。1901年には「白羊会」を結成し、仲間と共に詩作に励みました。このグループには後の著名な作家たちも名を連ねていました。

文学活動の広がり

盛岡中学校卒業後、不衣は第二高等学校に進学しますが、病気のために中退。地元に戻り、1906年から岩手毎日新聞社で働き始めました。1909年、不衣は啄木と共に文学の交流を深め、夜毎の論議が続く文学仲間の集まりが賑わいました。この文芸活動が彼にとっての黄金期であったと、後に独自の視点から振り返っています。

1910年には、啄木からの長男誕生を祝う手紙を受け取り、啄木の作品に絡んだエピソードもあります。啄木の第一歌集『一握の砂』には、不衣がモデルとなった句も含まれており、彼の存在が啄木にとって大切なものであったことが伝わります。

絆と喪失の時代

啄木は1912年に26歳で亡くなります。この時、不衣は彼の妻、節子の信頼を受けて啄木の死に近い状況を知らされます。啄木の影響はその後も不衣の活動に色濃く残りました。1918年、彼は句誌『渋柿』の同人として名を馳せるようになります。この頃から、彼は本名を捨てて「不衣」と名のり、俳句の修行を重ねました。

編集者としての活動

岩手毎日新聞社では、編集者として頭角を現し、後に主筆に就任します。彼の編集方針は、多くの詩人や作家に影響を与え、宮沢賢治がこの新聞に童話を発表するきっかけも、彼の力によるものでした。吉田孤羊が入社すると、不衣は啄木についての思い出を語り、それが吉田が啄木研究にのめり込むきっかけとなりました。

晩年と最後の作品

1943年、岡山不衣は生涯を閉じます。晩年は啄木夫妻が住んでいた家に移り、思い出を抱きながら過ごしました。彼の死後には森荘已池によって『岡山不衣句集』が出版され、多くの方に彼の俳句が楽しまれています。代表句の一例として「物売らぬ町家殖ゑけり秋の暮」があり、彼の視点が光ります。

岡山不衣の生涯は、友人や文学との関わりを通じて、彼自身の成長だけでなく、当時の文学界にも強い影響を与えるものであったと言えるでしょう。

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